渡辺大インタビュー

 今回、映画「日本独立」に出演させていただきましたが、伊藤俊也監督とのお仕事は、およそ10年ぶりです。1968年に東京都府中市で起きた3億円強奪事件をモチーフにした映画「ロストクライム―閃光」(2010年7月公開)でご一緒させていただいて以来でしたので、とても緊張しました。

 ですが、「ロストクライム」に参加して以降、たいへん光栄なことですが、伊藤監督にかわいがっていただき、年末年始にはお手紙でやり取りさせてもらっている中で、「『日本独立』のような作品を作りたい」というお話は聞いていましたので、喜びはひとしおでした。

 また、10年経った現在、伊藤監督は83歳になられますが、作品に対するエネルギー量は衰えるどころか、エネルギッシュさが増しているように感じ、私も負けていられないなという気持ちが湧いてきました。

 伊藤監督から「この10年何をやってきたんだ」と思われてはならないというプレッシャーもありましたが、期待に応えられるよう撮影に挑みました。

 「日本独立」は、現在の日本国憲法がどのようにして作られたのか、という終戦から憲法改正、そして独立に至る歴史の裏側を、当時外務大臣であった吉田茂と、彼の側近として活躍した白洲次郎の2人を軸に描いています。

 私が演じた、元海軍将校で小説家、吉田満の書著「戦艦大和ノ最期」は、優れた大東亜戦争の戦記文学であり、彼自身終戦直後の動乱の中で非常に重要な役割を果たしていました。白洲次郎や吉田茂と直接的な関わりはないものの、間接的に日本国憲法の草案などに影響を与えた重要な役どころです。
「日本独立」で吉田満役を演じる渡辺大(ケイパーク提供)
「日本独立」で吉田満役を演じる渡辺大(©2020「日本独立」製作委員)
 吉田満に思いを馳せれば、当時は米軍、つまりは連合国軍総司令部(GHQ)の思惑もあり、彼は本当に伝えたかったことが伝えられず、無念ではあったと思います。

 ですが、その思いは後世に引き継がれ、今回の「日本独立」のような映像作品を通して、日本国憲法がどのような背景で作られ、今日に至ったのかを多くの人に知ってもらえる機会になったことは、演じる私としても非常に感慨深いものがあります。