2020年12月17日 12:35 公開

世界保健機関(WHO)の欧州地域事務局は16日、来年初頭に欧州で新型コロナウイルスの感染が再拡大する「恐れが高い」として、クリスマスに家族で集まる際にはマスクを着用するよう欧州各国の人々に求めた。

欧州各地では数千人の感染や数百人の死亡が日々確認されている。

16日にはドイツで、学校や必需品を販売していない店舗が閉鎖されるなど、複数の国が制限措置を強化している。

こうした中、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、1週間以内に新型ウイルスワクチンが欧州連合で初めて承認される見通しだと明らかにした。

フォン・デア・ライエン委員長は16日の欧州議会で、米ファイザーと独ビオンテックがドイツで共同開発した新型ウイルスワクチンについて、直ちに欧州で展開されるだろうと述べた。当初の想定より1週間以上早い展開となる。

WHOは何と

WHOの欧州地域事務局は16日の声明で、冬の休暇シーズンに欧州各地で家族や友人が集まる機会が大幅に増え、新型ウイルスの感染症COVID-19の感染が拡大する危険性が高まったと述べた。

そして、再び感染者が増加するのを防ぐため、一人ひとりや各家庭、各コミュニティーがそれぞれの役割を果たすよう求めた。

家族の集いはできれば屋外で行うようにし、屋内の場合には参加者はマスクを着用して社会的距離を確保すべきだとしている。

「友人や家族と過ごす時にマスクを着用し、社会的距離を取るのは気が引けるかもしれないが、そうすることで皆の安全と健康を確保することに大きく寄与することになる」とWHOは付け加えた。

「重症化リスクの高い人たちや高齢の知人、あるいは親族にとっては、不安や懸念があるとしても、愛する人たちに物理的に距離を取るよう求めるのは非常に辛いことかもしれない。ほかの人たちがどんな気持ちでいるのか、そして彼らが難しい判断に直面するかもしれないことを考えてみてください」

WHOの声明はまた、混雑した公共交通機関の利用を避けるよう促している。スキーリゾートがある国については、スキーシーズンの混雑を回避するための措置を講じるよう提案している。

この声明とは別に、WHOは16日、10人からなる国際科学者チームを来月に中国・武漢市に派遣し、COVID-19の発生源について調査を行うと明らかにした。

<関連記事>

ドイツの新措置、なぜ今導入なのか

ドイツでは16日からスーパーや銀行といった生活に必要な店舗のみ営業が許可される。この対策は来年1月10日まで続く。

ただしクリスマス期間(24~26日)のみ緩和され、近しい親族4人まで家に招くことができる。

レストランやバー、娯楽施設などはすでに、11月の「ロックダウン・ライト」の時点で閉鎖されている。また、国内の一部地域も独自のロックダウンを導入した。

美容院も営業できなくなり、人気のモルドワインの屋台など屋外での飲酒も禁止される。企業は従業員の在宅勤務を許可するよう促されている。

ドイツでは16日、新たに952人の死亡と2万7728人の感染が発表され、新たな感染のピークを迎えた。しかし、前日などの集計に含まれていなかった人が今回の人数に含まれている可能性がある。

COVDI-19対策を統括しているロベルト・コッホ研究所(RKI)のロタール・ウィーラー所長は、同国の感染状況は「これまで以上に深刻」だと指摘した。

国営放送ドイチェ・ヴェレは若年層の感染は減少しているものの、新型ウイルスでより深刻な問題に苦しむ可能性の高い高齢者の間では、依然として増加していると報じた。

集中治療室に入っている患者数が危機的なレベルに達していると報告されている。

新たな措置を発表したアンゲラ・メルケル首相は、11月に開始した「ロックダウン・ライト」は新型ウイルスの制御に十分な効果を発揮しなかったと述べた。

パンデミック初期では、ドイツはほかの多くの欧州諸国よりも新型ウイルスの封じ込めに成功していただけに、直近の感染状況はとりわけ衝撃的なものとなった。

その他の欧州の状況

  • イタリア当局は年間の死亡者数が第2次世界大戦以降で最悪レベルに向かっているとしている。同国の死者数が欧州最多となったことから、保健アドバイザーたちはクリスマス期間中に主要都市にロックダウンを敷くべきだとしている。
  • フランスは2度目の全国的ロックダウンから、夜8時から翌朝6時までの夜間外出禁止令に移行した。この時間帯は許可証なしの外出はできない。バーやレストランの閉鎖は少なくとも来年1月20日まで続く
  • スペインのペドロ・サンチェス首相は最近の感染増加は「気がかり」だとし、クリスマス休暇の規制を「強化」する必要があるかもしれないと述べた
  • オランダは現在、5週間のロックダウン期間に入っており、パンデミック開始以降で最も厳しい制限が敷かれている。制限はクリスマス前後の3日間には若干緩和される
  • イギリス・ロンドンは16日に警戒レベルがティア3(イングランドで最も高い)に引き上げられた。パブやレストランの営業はテイクアウトや配達に限られ、屋内娯楽施設も閉鎖された
  • リトアニアはロックダウンに入り、必要不可欠ではない町と町の行き来が禁止されている。異なる世帯同士の接触も禁止されている
  • オーストリアは屋内でのマスク着用ルールの拡大や、世帯同士の集まりを制限するなど、クリスマスに向けた計画を打ち出す方針
  • デンマークは「部分的ロックダウン」を全国へと拡大し、全ての地域のレストランやスポーツ施設を閉鎖した


<解説>ドイツの責任のなすり合い――ジェニー・ヒル、ベルリン特派員

パンデミックの第1波を成功裏に乗り切ったドイツで、何が問題だったのだろうか。

より厳格な全国規模の対応が必要だとのメルケル首相の訴えに、今までちゅうちょし、言い争い、抵抗してきた地方自治体幹部を非難する人もいる。

ライプニッツ予防研究・疫学研究所の所長、アイリス・ピジョー教授は、「人々は言われた全ての規制には従わない。接触者を75%減らす必要があったが、うまくいかなかったと思う」と話す。

「感染者数と死者数が増えて、大みそかとクリスマスが完全に悪夢と化すかもしれない」と、ピジョー教授は懸念している。



新型コロナウイルス特集

感染対策

(英語記事 Europeans urged to wear masks for family Christmas