
2020年12月19日 11:43 公開
アメリカのマイク・ペンス副大統領(61)は18日、新型コロナウイルスのワクチン接種を受ける様子をテレビで生中継し、「何も感じなかった」と述べて安全性をアピールした。感染者数、死者数とも世界最多となっているアメリカでは14日からワクチン接種が始まっている。
ホワイトハウスはペンス氏の公開接種について、「ワクチンの安全性と有効性を示し、アメリカ国民の信頼を構築する」ためだと説明した。
ファイザー製のワクチンは1人につき2回の接種が必要になる。ペンス氏は18日午前8時頃、妻カレン氏やジェローム・アダムス公衆衛生局長官と共に1回目の接種を受けた。ドナルド・トランプ政権で最も高位の接種者となった。
アメリカでは14日から、米ファイザーと独ビオンテックが共同開発したワクチンの接種が始まった。同ワクチンは治験で95%近い有効性を示した。同国で新型ウイルスワクチンの緊急使用が承認されたのはこれが初めて。
アメリカではまず、300万回分のワクチンが全50州に飛行機やトラックで運ばれた。
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米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、アメリカの累計感染者数は1744万2180人で、31万3246人が死亡している(日本時間19日午前時点)。感染者数、死者数ともに世界最多だ。
アメリカで1日の死者数が3日連続で3000人を超える中、ペンス氏は「我々は今日、共に歴史的な1週間の終わりを迎えた。希望が待ち受けているとアメリカ国民に断言できる」と、集まった人々に向かって述べた。
バイデン夫妻も接種予定、トランプ氏は出席せず
米メディアによると、次期政権で大統領報道官に就任するジェン・サキ氏は、ジョー・バイデン次期大統領(78)と妻ジル氏が21日にもワクチンを接種する予定だと述べた。
ペンス氏のワクチン接種には、米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ所長と米疾病対策センター(CDC)のロバート・レッドフィールド所長が立ち会い、接種を行うウォルター・リード米軍医療センター医師たちの監督にあたった。
両所長は、ワクチン接種を終えたペンス夫妻と肘をつけてあいさつを交わした。
「我々は最終的に誰もがこのワクチン接種の対象となるようにしたい」とファウチ氏は述べた。「来年に入って数カ月後には、日常に戻ることを真剣に考え始められるよう、十分な人数を(ウイルスから)守るつもりだ」
トランプ大統領は公開接種イベントに出席しなかった。
与野党の幹部の反応
米野党・民主党最高幹部のナンシー・ペロシ下院議長と、トランプ大統領率いる共和党の幹部ミッチ・マコネル上院院内総務も18日にワクチンを接種した。
ペロシ氏は「ワクチン接種が展開される中、人命を救い、新型ウイルスを打ち負かすため、我々は全員マスク着用やソーシャルディスタンスの確保、その他の科学的根拠に基づく措置を継続しなければならない」と、接種を受けた際の写真と共にツイートした。
マコネル氏は、「政府存続計画の手順に従い、安全で有効な新型ウイルスワクチンを先ほど接種した」とツイートした。「ワクチンで我々は新型ウイルスを打ち負かす」。
トランプ氏は政府高官のワクチン接種について、「特段の必要性がない限り」ワクチン接種を最初に受けるグループには含めないとし、これまでの計画を一転させた。
10月に新型ウイルスに感染し、一時入院治療を受けて回復したトランプ氏は、ワクチンを接種する予定はないとしつつ、「適切な時期に」受けるのを楽しみにしていると述べた。
トランプ氏の支持者の多くは、ワクチンの有効性や安全性について懐疑的だ。
現在78歳で重症化リスクがあるとされる年代にあたるバイデン氏は、大統領就任から100日で1億回分のワクチン接種を目指すとしている。
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