
2020年12月19日 12:29 公開
スウェーデンは18日、これまでの新型コロナウイルス対策を転換し、公共交通機関では混雑する時間帯にマスクを着用するよう国民に呼びかけた。
ステファン・ロベーン首相が新たな対策を発表した。レストランで1つのテーブルに同席できる人数制限も、8人までだったのを4人までに変えた。また、夜8時以降の酒類の販売を禁止した。
ロベーン氏は新たな対策について、まもなく適用されると述べた。
スウェーデンはこれまで1度もロックダウン(都市封鎖)を実施していない。新型ウイルスの累計感染者は約36万人、死者は約8000人に上っており、北欧諸国の中では突出して多い。
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スウェーデンは、医療機関以外の公共の場におけるマスク着用を推奨してこなかった、数少ない国の1つだった。
世界保健機関(WHO)はマスク着用を強く勧めている。
「失敗だった」と国王
17日には、カール16世グスタフ国王(74)が毎年恒例のテレビ演説で、スウェーデンの比較的緩やかな対策は人命を救えず、「失敗だった」と述べた。
スウェーデンは新型ウイルス対策で、法的拘束力をもつ措置は実施せず、市民の責任感や義務感を当てにし、要請のみにとどめてきた。要請を守らなかった場合の罰則も作ってこなかった。
しかし感染者数が増加していることから、政府は今週、首都ストックホルムの学校に対し、13~15歳の生徒への授業を早急に遠隔に切り替えるよう初めて要請した。
これに先立ち7日には、全国で16歳以上の生徒に対して遠隔授業を行うことを決定していた。
また14日には、クリスマス期間に社会的距離を保つ対策を開始した。以前は、地域限定の同種のガイドラインが出ているだけだった。
欧州の他の国でも
スウェーデン以外の欧州の国々でも新型ウイルスの感染者は急増しており、各国がクリスマスを前に制限を強化している。
オランダとドイツは1月までロックダウンを実施している。
18日にはイタリアが、クリスマスと新年の時期のほとんどで、全国的なロックダウンを行うと決めた。今月24~27、31日と、来月3、5、6日に、仕事や医療、緊急の場合を除いて国民の移動を禁じる。
オーストリアも18日、クリスマス後に3度目となるロックダウンを実施すると発表した。26日以降、生活に不可欠ではない商店は閉店となり、自宅外での行動は制限される。
同国は1月に大規模な新型ウイルス検査を予定しており、ロックダウンが早期に終了する可能性もある。政府は検査で陰性と判定された人に対しては、制限を緩めるとしている。
フランスでは、新型ウイルス感染が判明したエマニュエル・マクロン大統領が、公邸での自己隔離を続けている。マクロン氏は倦怠(けんたい)感や頭痛、空咳といった症状が出ていると述べた。
スロヴァキアのイゴール・マトヴィッチ首相は18日、ウイルス検査で陽性と判定されたと発表した。マトヴィッチ氏は先週、欧州連合(EU)の首脳会談にマクロン氏らとともに出席していた。
その首脳会談の場にいた、ベルギー、スペイン、ポルトガル、ルクセンブルグの各国首相らも、自己隔離に入ると表明している。
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