2020年12月21日 11:50 公開

イギリスでより感染力が高い「制御不能」な新型コロナウイルスの変異種によるものとみられる感染が拡大していることを受け、欧州各国がイギリスからの渡航を禁止し始めている。

アイルランド、ドイツ、フランス、イタリア、オランダ、ベルギーはそれぞれ、イギリスとの全ての航空便を停止している。これらの措置は短期的なもので、内容は国によって異なる。フランスの措置は英仏間の貨物輸送に影響を与えている。

欧州理事会は21日により協調的な対応について協議する予定。

新型ウイルスの変異種はロンドンとイングランド南東部で急速に拡大している。

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ボリス・ジョンソン首相はこれまで3段階だった警戒レベル(ティア)について、さらにその上のティア4(自宅待機)を設定。19日にロンドン(全32地区とシティ・オブ・ロンドン)のほか、イングランド南東部と東部の各州をティア4に指定した。また、クリスマス期間の規制緩和の取りやめも発表した。

保健当局幹部らは、変異種による死亡率が従来種より高かったり、ワクチンへの反応が異なっていたりする証拠はないとした。一方で、従来種よりも感染の可能性が最大70%高いとしている。

マット・ハンコック保健相は、変異種が「制御不能」になっており、「我々はこれを制御しなければならない」と述べた。そして、「率直に言って、ひどい1年にとって、信じられないほど困難な終わり」になったとした。

各国の対応は

19日のイギリスの発表から数時間後、オランダはイギリスからの全ての旅客便を来年1月1日まで禁止すると発表した。20日には、イギリスからのフェリー客の乗り入れも禁止すると発表。貨物の輸送は継続するという。

同国は14日に厳しいロックダウンを導入したものの、20日には1万3000人以上の新規感染者が確認された。

フランスは貨物トラックを含む、イギリスとの間の全ての輸送手段を20日深夜から48時間停止した。毎日数千台ものトラックが英仏間を行き来している。

フランスの禁止措置を受け、英仏海峡トンネルを運営するユーロトンネルは英フォークストンから仏カレーへの輸送を止めるため、グリニッジ標準時(GMT)20日午後10時から英側のフォークストン・ターミナルへのアクセスを停止した。

21日の輸送を予約していた人は払い戻しが受けられる。カレーからフォークストンへの輸送は継続される。ドーヴァーのフェリー・ターミナルも現在閉鎖されている。

ジョンソン首相は貨物輸送に関する差し迫った問題について協議するため、21日にも緊急治安特別閣議(コブラ=COBRA)を開く予定。

毎年この時期に多くの人がイギリスとの間で行き来するアイルランドでは、政府がイギリスからの到着便を20日深夜から少なくとも48時間禁止すると発表。「公衆衛生上の利益のため、イギリス国内にいる人は国籍に関係なくアイルランドへ渡航すべきではない。空路でも、海路でも」とした。

フェリーでの貨物輸送は継続される。

ドイツ運輸省は20日深夜から、イギリスからの航空便の乗り入れを禁止した。貨物は除外される。イエンス・シュパーン保健相はイギリス国内で確認された変異種について、ドイツ国内ではいまのところ検出されていないと説明した。

ベルギーは「予防措置」として20日深夜から少なくとも24時間、イギリスからの航空便と列車の乗り入れを停止した。

イタリアは来年1月6日まで、イギリスからの全ての航空便を禁止する。イタリア保健省は20日、イタリアでもイギリスと同様の変異種が見つかったと発表した。変異種に感染した人はローマ市内で隔離されている。

オーストリアもイギリスからの航空便を禁止する方針。ブルガリアは20日深夜からイギリスを発着する航空便を停止した。多くの国が短期的な措置を取る中、ブルガリアは来年1月31日まで禁止するとしている。

トルコスイスも、イギリスからの全ての航空便を一時停止している。


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感染対策

(英語記事 Nations impose UK travel bans over new variant