2020年12月22日 13:21 公開

ドミニク・カシアーニ、BBC内務担当編集委員

英高級百貨店ハロッズで総額1600万ポンド(約22億円)の買い物をし、2018年に反汚職法に基づく「不明財産に関する命令」(UWO)の対象となった女性がこの命令に異議を申し立てたが、イギリスの最高裁判所は21日、これを却下した。

UWOの対象となったのは、ザミラ・ハジイェバ氏。

同氏と夫はアゼルバイジャン出身。元政府系銀行員の夫は数百万ポンドを銀行から横領した罪で、15年の禁錮刑が確定し服役中。

ハジイェバ氏は財産の資金源を説明できない場合、ロンドンに所有する1200万ポンド(約16億円)の自宅とロンドン郊外のバークシャーに所有するゴルフコースを失う可能性がある。

最高裁は、UWOに対する同氏の異議申し立てには法的な論点がないとした。

ロンドンの高級住宅街ナイツブリッジにあるハジイェバ氏の自宅やバークシャーのミル・ライド・ゴルフコースは、夫妻と関係のある複数のオフショア企業が所有している。法廷闘争が始まった2018年2月当時、自宅とゴルフコースは合わせて2200万ポンド(約30億円)以上の価値があった。

ハジイェバ氏は10年間で、ハロッズで総額約1600万ポンドを使っていた。

「不明財産に関する命令」とは

UWOでは、不正が疑われる人物が合法的に多額の資金を得た経緯を説明できない場合、捜査当局による犯罪行為の証明がなくても、裁判所はその人物の財産を差し押さえられる。

ハジイェバ氏は不正行為を否定しており、イギリスでは起訴されていない。イギリスの裁判所は昨年、同氏のアゼルバイジャンへの引き渡しについて、公正な裁判が望めないとして許可しなかった。

ハジイェバ氏の弁護人は、同氏が英国家犯罪対策庁(NCA)から不法に標的にされているとして、この事案を審理するよう最高裁に申し立てていた。しかしこの申し立ては却下され、同氏は上訴権を使い果たした格好となった。

NCAの国家経済犯罪センターを率いるグレアム・ビガー氏は、「『不明財産に関する命令』を金融捜査における強力なツールとして確立する上で重要な、意義深い結果」だと述べた。

「ハジイェバ氏には命令(UWO)に異議申し立てを行う方法は残されていない。同氏はこれらの資産に関連した情報をNCAに提示する必要がある」

NCAはハジイェバ氏に対し、厳格な期限を設定して要求に従うよう迫る予定だった。しかし、クリスマス期間に入り、新型コロナウイルスの感染も拡大していることから、ハジイェバ氏は今冬の終わりまで回答を猶予される可能性がある。

(英語記事 Harrods mega-spender loses Supreme Court challenge