靖国参拝を巡っては、実は在日米軍の関係者に「靖国神社に行くな」というような命令が在日米軍司令部か在日米大使館のどちらかから発されたと記憶している。その当時、筆者は文官として在沖米海兵隊司令部に勤めていたが、その指示を無視した。こうした指示は、(一般論として)信教の自由を侵害するものだったからだ。

 筆者には、日本を誇り高く思っている日本人の妻と子供たちがいるため、何度か靖国神社を参拝している。また、日本の歴史や文化を専門的に研究している者として、実際に体験しなければ理解できないからだ。

 本題に戻るが、バイデン政権になった場合、日韓関係の「修復」を強制させるだけでなく、日中関係にも介入してくるだろう。

 最も懸念しているのは、やはり尖閣諸島問題だ。振り返れば、日本は尖閣諸島を含む沖縄が返還された1972年以降、実効支配らしいの政策をとってこなかった。

 中でも象徴的なのは、2012年の衆院選を控えた当時野党だった自民党が、政権奪取目的としか思えないが、「尖閣諸島に公務員を常駐させる」と公約しながら、約8年間の安倍政権、菅政権はすでに3カ月が経過しても、いまだ実現していないことだ。

 おそらく中国を意識して遠慮してきたのだろうが、著書「尖閣問題の起源」(名古屋大学出版会)にも詳述している通り、そもそも発言権がない中国になぜ遠慮しているのか不思議でしょうがない。

 また、実効支配を示すチャンスを全く生かしていないのも事実だ。尖閣諸島にヘリポートや避難港、気象台、灯台を建設しておらず、これらは全て国際公共財であるにもかかわらず、日本政府が遠慮している。

 これは無責任の極みだ。なぜなら、遠慮することで、中国に自信を与え、この半世紀で徐々に規模が大きくなり、回数を重ねているが、中国の沿岸警備隊「海警」(実際には白く塗って装っている軍艦が多い)や潜水艦、飛行機、情報収集能力搭載する「漁船」などを使って領海、領空の侵犯を繰り返してきた。

 既成事実を重ねているだけでなく、防空・防衛などの日本の弱い部分を試している。このままであれば、いずれ尖閣諸島を巡って戦争になりかねない。

 戦争を避けたいらなら、宥和政策ではなく、上記のように、しっかりした実効支配を示すべきだ。これこそ、日本は、尖閣諸島が自国の領土であるとの自信を世界に示すことになり、行政的な抑止力になる。
尖閣諸島の魚釣島=2011年10月、沖縄県石垣市(海上自衛隊哨戒機P3-Cから鈴木健児撮影)
尖閣諸島の魚釣島=2011年10月、沖縄県石垣市(海上自衛隊哨戒機P3-Cから鈴木健児撮影)
 もし、それでも中国が攻撃した場合、国際社会は日本の味方になる。そうしなければ、「尖閣諸島はやはり日本の領土ではない」と捉え、日本の政治・外交・防衛上の支援をしなくなる。