現在は二階幹事長が主導する政局と見えるが、これは財務省が一時的に力を落としていると見るべきだろう。岡本薫明前財務事務次官は就任するやモリカケ騒動を終結させ、安倍政権に消費増税10%を難なく呑ませた実力者だった。その岡本氏が昨年夏の人事異動で去り、太田充現事務次官は軽量と見られている。

 現に、コロナ禍での財政出動圧力に防戦一方だ。ちなみに麻生財務大臣などは国会で何度も「コロナは風邪」と言い切っている。財務省の本音としては、「たかが風邪」で巨額の財政出動などしたくないのだ。

 だが、そんな財務省の本音は通らない。防戦一方とはいえ、それでも官庁の中の官庁としての底力は残っていて、「他の何を譲っても消費減税だけは絶対にさせない」との“絶対国防圏”だけは死守する構えだ。

 結果、飲食業や観光業は悲鳴をあげ、自殺率も上がった。特に女性の自殺率は激増である。これに対し菅内閣が有効な対策を打つ、財務省に対し政治力を発揮するなど、期待しないほうがよいだろう。

 そして2021年は選挙の年である。4月には衆議院の補選、7月(6月末に前倒しの可能性もある)に東京都議選、9月に自民党総裁選が予定されており、10月が衆議院の任期満了だ。既に菅内閣の支持率は激下がりだが、今後も上がる気配がない。コロナ対策も不況対策も風任せだからだ。

 まず、4月の補選では公明党が独自候補を擁立、自民党との亀裂が深まっている。菅総理や二階幹事長と公明党の関係は良好だが(むしろ、このつながりが双方の政治的源泉)、補選で自前候補擁立を目指す岸田文雄元外相は違う。

 公明党は「もしわが党の候補を応援しなければ、全国の岸田派議員を応援しない」と恫喝している。岸田派は選挙地盤が弱い議員が多く、公明党の背後にいる創価学会の支援なくして当選はおぼつかない。ではあからさまな恫喝に屈するか。創価学会・公明党の力が示される選挙になるだろう。

 7月の都議選は、実は今年最も重要な選挙になりかねない。ここで東京都の小池百合子知事がどう動くか。4年前は、都民ファーストブームで東京の自民党を壊滅状態に追いやった。そして総理候補に躍り出た。

 あのときは決心がつかなかったが、今回は野心満々だろう。いずれにしても「小池に応援された党派の候補が勝つ」という状況を作れれば、再び総理候補に躍り出ることになる。
記者会見し、不要不急の外出自粛を呼び掛ける東京都の小池百合子知事=2020年12月25日、都庁
記者会見し、不要不急の外出自粛を呼び掛ける東京都の小池百合子知事=2020年12月25日、都庁
 菅総理の支持率が下がり「選挙の顔」にならなくなれば、菅おろしが勃発するだろう。だが、2009年に当時の麻生太郎総理を引きずりおろそうとした動きも、鎮圧された。現職総理が本気で居座った場合、総選挙以外では誰も引きずりおろせないのが日本の政治だからだ。

 そして09年の総選挙は自民党が記録的な大敗を喫し、旧民主党への政権交代がなされた。この再現を一部のマスコミは本気で狙っている。また、立憲民主党の枝野幸男代表も真剣だ。自民党が国民の支持をなくしたら、野党第一党党首の自分に政権が転がり込んでくると。そのために衆議院候補者の頭数をそろえ、野党内政局に勝ち続けてきたのが、枝野幸男という男だ。