自民党もそうしたくないから「菅おろし」を目論んでいる。そして「枝野シナリオ」の上前をはねるのが「小池シナリオ」だ。

 そもそも、安倍政権が長期政権と化したのには理由がある。「金融緩和をする→株価が上がる→選挙に勝てる→誰も引きずりおろせない」の方程式だ。

 日銀は現在も金融緩和を続けていて、やめれば即座にリーマンショック以上の不況が訪れるのだが、かといってコロナ禍で人々が不安になっているときはインフレマインドが醸成されるはずがないので、効果は限定的だ。

 株価は上がっているが、給付金の使い道に困った富裕層が投資しているだけで、実体経済を反映していない。コロナ禍を抑え込まない以上、不況対策は打つ手なしで我慢の時間帯を続けるしかない。

 動乱の日本政治に突入するだろう。それでも7月に東京オリンピックをやる体制だ。その場合、8月上旬にパラリンピックが終わる。その直後から、政治は激動期に突入する。菅総理が乗り切れるかどうかよりも、そのときに何か実績があるかどうかのほうが重要だが。

 世界に目を転じれば、米国で政権交代が起きた。ドナルド・トランプ大統領は対中国強硬政策を行ったが、次期大統領のジョー・バイデン氏も基本路線は受け継ぐ。

 ビル・クリントン政権末期やバラク・オバマ政権もそうだったが、強すぎる中国を民主党といえども許容しないのだ。また、2年後に中間選挙があるので、それまでは極端な独自政策は出しにくく、議会で野党共和党との協調路線を続けるとみられる。

 だが、優先順位は変わる。バイデン氏の最優先事項は環境問題だ。バイデン政権は「第七艦隊を動かすと地球環境が汚染させる」などと言い出す勢力も抱えている。

 中国は終始孤立していたトランプ大統領よりも、ヨーロッパと強固な関係を結べるバイデン氏のほうを警戒しているようだが、日本が安心できる要素は何もない。中国は「武漢肺炎」などなかったかのごとく、コロナ禍で一人勝ちを謳歌している。この国は甘い相手ではない。

 長年、中国のジュニアパートナーに甘んじつつも国内とヨーロッパに対しては居丈高だったロシアのウラジーミル・プーチン大統領の支配にも陰りが見えた。それを象徴するのが、20年秋に突如として起こったナゴルノカラバフ紛争だ。ここはアゼルバイジャンがアルメニアに占領されていた土地だったが、力づくで奪い返した。両国とも旧ソ連圏で、プーチン大統領から見たら「舎弟」だ。
2020年12月23日、モスクワ郊外の公邸でテレビ会議に出席するロシアのプーチン大統領(タス=共同)
2020年12月23日、モスクワ郊外の公邸でテレビ会議に出席するロシアのプーチン大統領(タス=共同)
 この動きの背後には、まるでプーチン大統領と盃を交わしたかのごときトルコの態度がある。北大西洋条約機構(NATO)に接近しようとしたアルメニアの動きを看取したトルコはプーチン大統領と話をつけ、手下のアゼルバイジャンの軍事行動を容認させたとのことだ。トルコもただでは軍門に下らないし、プーチン大統領も仁義を切る者には「代紋」を貸す。

 旧ソ連圏では反プーチン大統領の動きが続発しているが、ロシアを簡単な国と舐めないほうがよい。