2020年12月30日 12:39 公開

イギリスで29日、新型コロナウイルスの感染者が5万3135人確認された。2日連続で、1日あたりの感染者数が最多を更新した。保健当局トップは、急増の度合いについて「極めて心配」としている。

イギリスでは前日に、1日あたりの感染者の報告数が初めて4万人を超えたばかり。

ウイルス検査で陽性判定が出てから28日以内に死亡した人も、29日は414人と多かった。

クリスマス期間は各地の報告が遅れ、一気に増加することもある。だが、イングランド公衆衛生庁(PHE)は「現実の増加」があったとした。

マット・ハンコック保健相は、国民保健サービス(NHS)に「かつてない負担」がかかっていると述べた。

ハンコック氏は30日に、イングランドの警戒レベル(ティア規制)を変更するか発表する。それを前に29日、「ワクチンによって安全を確保するまで、NHSを守り、命を救うため、私たちは新型ウイルスを抑え込まないといけない」とツイートした

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イングランドとウェールズの病院は現在、第1波のピークだった4月の患者数を上回る数の患者を治療している。

PHEの上席医療顧問スーザン・ホプキンス博士は、「かつてないレベルのCOVID-19の感染がイギリス各地で続いている。病院は医療崩壊が間際に迫っており、極めて心配な状況だ」と懸念を表明。

「今日報告された感染者数は、クリスマス期間の人数が含まれている。とは言え、この数字はおおむね現実の増加を反映している」とした。

また、感染者数を減らし、NHSや弱った人々を守るため、人々が社会的距離に関するルールを守ることが「これまで以上に欠かせない」と話した。


感染者数は過去最多となったが、感染率は、大規模な検査が実施されていなかった春ごろのほうが高かったとみられている。

ウェールズの景勝地ブレコン・ビーコンズでは、警察が観光客らに立ち去るよう求めた。ティア4(自宅待機)が適用されているロンドンから訪れた人もいた。

スコットランドでは、市民らは自宅にとどまり、大みそかも他の世帯と一緒に祝わないよう強く要請されている。

北アイルランドの医療トップは、第3波が1月中旬に同地に到来すると警告。新型ウイルスの変異種が広がっていることも関係していると述べた。

これまでの規制は「効かなくなる」

パンデミックについて政府に助言する専門家委員会「新型呼吸器系ウイルス脅威諮問グループ(Nervtag)」のアンドリュー・ヘイワード教授は、変異種の出現によってイギリスは「パンデミックの非常に危険な新段階」に入ったと話した。

ヘイワード教授はBBCラジオ4で、変異種の「感染力が50%上がった」とすると、これまで効果のあった規制は「もはや効かなくなる」と説明。イングランドで実施されているティア4や、「それより厳しい」制限が必要になる可能性が高いと述べた。

その上で、「私たちはロックダウン(都市封鎖)に近い状況に突入していくところだと思う」とした。


Nervtagの別のメンバー、ニール・ファーガソン教授も、変異種は「間違いなく」状況を「いっそう困難に」すると、BBCラジオ4で警告。

感染を抑制し、日常を取り戻すために政府ができることは「ますます限られてくる」とした。

29日に公表された研究の初期結果では、新たな変異種がこれまでのウイルスより入院患者や死者を増やす力が大きいわけではないとされた。

この研究では、変異種に感染した1769人と、「ふつう」または「強力タイプ」の新型ウイルスに感染した1769人を比較。死亡率や罹患率に大きな違いはみられなかったという。

病院は職員に休暇キャンセルを要請

ウェールズ、スコットランド、イングランド南部の病院は、COVID-19患者の増加でひっ迫状態が続いている。

エセックスのサウスエンド大学病院は、多数の患者を治療するため、職員に休暇をキャンセルするよう要請した。

救急医療コンサルタントのサイモン・ウォルシュ氏は、イングランド南東部の多くの病院や医療機関で、職員たちは「大事故対応モード」で勤務していると指摘。それらの場所では、到着した救急車が列をつくり、建物の外にトリアージュ(治療の優先度の判断)のためのテント設営も検討されているとした。

イースト・ロンドンのロムフォードにあるクイーンズ病院では、職員がシフト勤務を増やすよう求められている。また、救急車で到着したCOVID-19患者の一部は車内で治療を受けている。


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(英語記事 'Extreme concern' as UK virus cases surge