2021年01月04日 16:00 公開

インド政府は3日、英製薬大手アストラゼネカと英オックスフォード大学が開発したワクチンと、インドのバーラト・バイオテックが開発したワクチンの2種類を承認した。

ナレンドラ・モディ首相は、「決定的な転換点だ」と評価した。政府は今年7月までに、人口13億人のうち医療従事者や感染リスクの高い人など3億人にワクチンを接種させる計画だ。

同国の医薬品規制責任者は、アストラゼネカとバーラトが提出した資料はどちらも、ワクチンの安全性を示すものだったと説明した。

しかしバーラトのワクチンについては、野党や一部の医師から安全性や承認プロセスの透明性の面で批判の声ががっている。

インドはアメリカに次いで世界で2番目に感染者が多く、これまでに1030万件が報告されている。死者は15万近くに上っている。

3日には、全国9万人の医療従事者によるワクチン接種の予行演習が行われた。

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バーラトのワクチン「コヴァクシン」は今回、有効性を示すデータがない状態で承認された。このワクチンはまだ大規模な臨床試験が行われていないという。

しかし、医薬品規制責任者のVG・ソマニ氏は声明で、コヴァクシンは「安全で、力強い免疫反応をもたらす」と説明。「特に変異種による感染を想定し、ワクチンの選択肢を増やすため、臨床試験という形で予防策という公共の利益に沿って」限定的な使用を許可したと述べた。

その上で、「このワクチンは100%安全だ」と述べ、副作用には「あらゆるワクチンで起こり得る微熱や痛み、アレルギー反応などがある」と述べた。

これに対しインドの医療監督機関「全インド医薬品活動ネットワーク」は、「研究が不完全なワクチン」を承認した「科学的論理を理解できない」と反論している。

「有効性のデータがないことへの懸念が持ち上がっている」ほか、承認プロセスの透明性が欠如していることから、今回の判断については「答えよりも疑問が多く、科学的な意思決定機関に対する信頼を強化することにはならない」と、同機関は述べた。

また、コヴァクシンが変異種にも効果があるという仮説は臨床試験で得られたデータに依拠するものではないと指摘した。

一方、オックスフォード大とアストラゼネカによるワクチンは、インドのワクチン製造大手セラム・インスティチュート・オブ・インディアが生産する。同社は現在、1カ月に5000万回分以上を製造しているという。

アダル・プーナワラ最高経営責任者(CEO)は昨年11月にBBCの取材で、規制当局の承認が得られた暁には、1カ月に1億回分まで増産するつもりだと話しいた。

インドでは「コヴィシールド」の製品名で知られるこのワクチンは、12週間の期間を開けて2回接種が必要。一般の冷蔵庫と同じ摂氏2~8度で安全に保管できるため、医師の診察室など既存の医療施設へも搬入できるという。

バーラトの「コヴァクシン」も同様の温度で管理できるため、他のワクチンと比べて運搬がしやすいのが利点だ。たとえば米ファイザーと独ビオンテックのワクチンはマイナス70度での保存が必要で、一度に運べる量も限られている。真夏の気温が50度まで上がることもあるインドでは、このワクチンの運搬は特に困難が予想されている。

ファイザーのワクチンはイギリスやアメリカ、欧州連合(EU)などですでに承認されており、インドでも認可申請する予定だ。

(英語記事 India approves two coronavirus vaccines / Concern over 'rushed' approval for India Covid jab