2021年01月06日 16:03 公開

香港で6日午前、香港での反政府的な動きを取り締まる中国の「香港国家安全維持法」(国安法)が昨年6月に施行されて以来で最大規模の取り締まりが行われ、民主活動家や政治家約50人が相次ぎ逮捕された。香港特別行政区政府を「転覆しようとした」容疑だとされる。

香港の治安部門トップ、李家超(ジョン・リー)保安局長は同日午後、香港政府を「転覆」しようとした疑いのグループ摘発の一環で、複数を逮捕したと認めた。李局長は立法会(議会)で、政府は「破壊行為」を容認しないと発言した。

地元メディアによると、逮捕は昨年9月に予定されていた立法会選挙に向けて民主派が実施した予備選に関するものという。

香港警察はまた、別の罪で収監中の民主活動家、黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏の自宅や法律事務所を家宅捜索したほか、民主派の報道機関スタンド・ニュースに対し、国安法に関連した文書を引き渡すよう迫ったとされる。

民主党のフェイスブックページによると、昨年6月に長期におよぶ民主化運動に対抗して中国が導入した国安法に基づいて逮捕されたという。

逮捕者の中には涂謹申(ジェイムズ・トゥー)氏、林卓廷(ラム・チュク・ティン)氏、岑敖暉(レスター・シュム)氏ら野党・民主党や公民党の著名メンバーが含まれているとみられる。

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昨年7月の予備選とは

昨年9月に予定されていた立法会選挙に向け、民主派は同年7月に独自で予備選を実施した。これは立法会選挙でどの候補者が最も有利なのかを見極めるためだった。

予備選では60万人以上が投票した。立法会選挙は新型コロナウイルスのパンデミックを理由に延期された

野党グループはより多くの議席を獲得することで政府の提案を阻止し、民主的改革への圧力を高める力を十分得られるようになると期待していた。

香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は当時、予備選は国家転覆行為に相当する可能性があると警告した。

黄之鋒氏や岑敖暉氏ら複数の民主派が立法会選挙への立候補を予定していたが、香港の選挙管理当局は昨年7月末に民主派候補12人の立候補資格を取り消した

同年11月には、民主派議員4人が議員資格を剥奪されたことに抗議して、民主派議員15人全員が一斉辞職を表明した。

国安法とは

国安法は、中国からの分離独立や中央政府の転覆、テロ行為、外国勢力との結託を禁止するもので、違反すると最高で無期懲役が科される。

人権団体や欧米諸国からは、反対意見を抑圧するものだとして批判が出ている。

かつてイギリスの植民地だった香港は1997年に中国に返還され、言論の自由や表現の自由など、中国大陸ではみられないような権利を享受してきた。

活動家たちは過去数年間、こうした香港の自由が中国によって侵食されていると主張している。民主化を求める抗議活動では、抗議者と警察がたびたび暴力的な衝突を起こしている。

中国政府は、民主化を求める抗議行動に揺れる香港の安定を取り戻し、中国大陸とのさらなる一体化につながるとして、国安法を擁護している。

同法が施行されると、多数の民主派グループが身の危険を恐れて解散した。

国安法違反で起訴された香港メディア界の大物で民主活動家の黎智英(ジミー・ライ)氏や、昨年8月にボートで香港から台湾へ脱出しようとした活動家たちなど、過去数カ月の間に国安法に基づく裁判が複数始まっており、注目を集めている。

(英語記事 Mass arrests among Hong Kong pro-democracy camp