石橋通宏(参議院議員)

 国内に滞在する外国人技能実習生は、今や40万人を超え、事実上、国内の多くの産業・経済分野、特に人手不足にあえぐ地方や農業などの一次産業において、生産・製造現場を支えてくれている。

 その技能実習生たちの中で、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて実習が休止状態となったり、解雇されたりして生活苦に追い込まれ、母国に帰りたくても帰れず、非常に厳しい状況に置かれている人が多数に上っていることをご存じだろうか。

 これは、私たちがかねてから指摘をしてきた現行の外国人技能実習制度の構造的な問題が、今回のコロナ禍で顕在化しているわけだが、この事態を深刻に受け止めるべきであり、これを機に技能実習制度の抜本改革を急がねばならない。

 厚生労働省によれば、コロナ禍の影響で解雇された外国人技能実習生は、すでにおよそ4千人に上っている。そもそも、なぜ、実習計画に基づいて技能を習得しているはずの実習生が、これだけ大量に解雇されなければならないのか。この実態こそ、技能実習制度の根本的な矛盾を露わにしているといえるのではないか。

 これまで政府は一貫して、技能実習制度は国際貢献策であり、人手不足を補うための対策ではないと言い張ってきた。しかし、国際貢献のための実習だと言うならば、受け入れ先の経営状況の都合で解雇されるのはおかしな話であり、受け入れ国としてはまったくの責任放棄である。

 ただ、いくら政府がごまかそうとも、技能実習制度の実態は人手不足を補うための労働力確保策であり、政府が表向き否定をしてきた未熟練の外国人労働者の受け入れ政策に他ならない。その現実の下、このコロナ禍にあって、彼らが雇用の調整弁となり、解雇されているのではないのか。

 確かに、コロナ禍の影響が長期化する中で、多くの産業分野において事業主が厳しい経営環境に晒(さら)されており、当初計画通りの技能実習の履行に困難を生じている実習実施者がいることは否定しない。

 だからこそ私たち立憲民主党をはじめとする野党は、早い段階から、中小事業主に対する国からの各種支援策の創設・拡充、特に雇用の維持や労働者の生計の確保を念頭においた施策の拡充を主張し、政府・与党に対する要請を行ってきた。

 国策として40万人を超える外国人実習生を日本に招聘(しょうへい)しているのであるから、その企業支援において、技能実習生に対する雇用と生計の維持への支援を特に重視し、手当てするのは当然のことではないだろうか。政府には、実習生たちの技能実習の継続と技術の習得はもとより、収入や生活を何が何でも支える責任があるはずだ。

 もちろん、一義的には、監理団体や実習実施者に実習の継続や生計・生活の維持の責任を果たしてもらわなければならない。やむを得ず休業する場合でも、雇用調整助成金など国の助成制度をフル活用して、6割以上と言わず10割の休業手当を支払い、技能実習生の雇用や生活の維持に全力を尽くすべきではないだろうか。

 多くの実習生は、日々の生活に必要な費用に加え、仕送りや帰国後のための貯金や、自らの借金返済のために毎月の手当の支払いが死活的に重要なのである。
水道管工事の会社で作業するベトナム人技能実習生ら=2019年4月、東京都大田区(宮崎瑞穂撮影)
水道管工事の会社で作業するベトナム人技能実習生ら=2019年4月、東京都大田区(宮崎瑞穂撮影)
 政府はこれまでのところ、解雇された技能実習生への支援策として、最大1年間、別の業種で働くことができるよう特例措置を講じている。そもそも、このような特例が可能であったこと自体、技能実習制度がごまかしであったことの証左だと思う。