さらに、これは技能実習生のためと言うよりも、新たな実習生が来日できなくなったため、人手不足に窮している実習実施者や監理団体を救済するための措置なのではないかと疑わざるを得ない。

 だが、支援団体などによると、技能実習生を受け入れている「監理団体」の中には、再就職の支援などを行わず、解雇された実習生が住む場所を失って、行き場がなくなっているケースも多発しているとのことだ。

 ひどいところでは、事業主都合で解雇しておきながら、自分たちが不利益を被るのを防ぐために、自主退職したかのように偽装させている事例まで聞こえてきている。言語道断だ。そういった悪しき監理団体や実習実施者に対しては、今後の受け入れ停止や禁止などを含む断固たる処置をとるべきであろう。

 解雇されたり、無給の休業状態に置かれている技能実習生たちの中には、日本語が十分にできなかったり、監視下にあって声を上げられなかったりする人が少なからず存在していると思われる。

 せっかくの特例措置も、実習生たちが知らなければ使いようがない。外国人技能実習機構は、相談体制の強化とその周知の再徹底を行うとともに、技能実習生の実習継続や収入・生活実態について早急に調査し、解雇されたまま放置されたり、長期にわたって無給の休業状態に置かれて、日々の暮らしにも困難をきたしているような実習生がいないかを早急に把握すべきだ。その上で、実習実施者や監理団体に対しては、休業手当の支払いや再就職・生活支援の徹底を指導するなどの対応を行ってほしい。

 前述の通り、今回、コロナ禍において顕在化している問題は、外国人技能実習制度が抱えている構造的な問題であり、もはやパッチワーク的な改善策では対処できない。これを機に、改めてその抜本的な改革に向けた議論を本格化させるべきだ。

 最大の問題は、国策であるはずの技能実習制度が民間の契約ベースの下に運営されており、送り出し国側でも日本国内側でも悪しき民間ブローカーが介在し、多数の実習生が多額の借金を抱えて日本にやってくることである。この多額の借金のため、人権侵害やハラスメントを受けたり、賃金未払いや過重労働などがあっても拒否できず、逃げられず、声を上げられず、帰国することもできない。

 日本で監理団体や実習実施者の違法行為に声を上げた結果、実習途中で強制帰国させられた技能実習生も多数報告されているし、帰国後に契約違反だとブローカーから訴えられ、多額の違約金を払わされるような事件まで発生しているという。

 外国人技能実習法は、手数料や保証金の類の徴収を禁止しているし、意に反した途中帰国や労働法令違反の禁止を明記しているが、今なお違反は後を絶たない。

 また、コロナ禍で解雇されたり、人権侵害などに堪えきれず逃げ出した実習生たちが、生活苦に陥り、詐欺集団らの片棒を担がされたり、犯罪に手を染めたりする事件も発覚している。

 もちろん、犯罪行為は許されないが、彼らをそういった状況に追い込んだ技能実習制度そのものや、彼らを適切に支援・救済しなかった監理団体や技能実習機構にこそ、その責任を問うべきではないのかと、立法府としての責任を痛感している。
参院予算委で質問する筆者の石橋通宏氏(右端)=2020年1月
参院予算委で質問する筆者の石橋通宏氏(右端)=2020年1月
 このように、現行の技能実習制度が構造的に破綻していることはもはや明らかだろう。できるだけ早期に、現行制度を発展的に解消し、現在滞在中の技能実習生を含め、正規の労働者として就労・在留ができる外国人労働者のための雇用許可制度を新たに整備すべきだ。