2021年01月08日 8:20 公開

ドナルド・トランプ米大統領の支持者が連邦議会に大挙して襲撃した事件を受けて、運輸相など政権関係者の辞任が続く中、民主党幹部からは大統領解任を求める声が高まっている。

民主党幹部のチャック・シューマー上院院内総務は7日、トランプ氏を即刻解任するよう要求した。民主党幹部のナンシー・ペロシ下院議長は、政権が憲法修正第25条を使って大統領を解任しないならば弾劾手続きに入る可能性を示唆した。

ジョージア州での連邦上院決選投票の結果を受けて、米議会は20日から上下両院とも民主党が多数党となる。

民主党の大統領解任要求には、与党・共和党からも同調する声が部分的に出ている。

トランプ氏は7日夜(日本時間8日午前)、ツイッターで動画を投稿。「連邦議会への極悪な攻撃について、すべてのアメリカ人と同様に激怒している」とした後、「議事堂を汚した」者たちは「この国を代表しない」と述べた。その上で、自分はこれまで公平な選挙を確保し民主主義を守るために闘っていたが、「議会が選挙結果を認定した今」、「1月20日に新しい政権が就任する」と、政権移行を認めた。これに先立つ声明とは異なり、選挙に勝ったのは自分だという主張はなかった。自分が直ちに州兵や法執行機関を投入したとも発言しているが、これは事実と異なると複数の米メディアが指摘している。

暴徒による連邦議会襲撃によって4人が死亡し、これまでに68人が逮捕された。死亡したのは、審議中の下院本会議場に侵入しようとした一団の1人だった女性で、元空軍のアシュリ・バビットさん(35)だったという。この女性を撃って死亡させた議会警察の警官は、休職処分になった。

連邦捜査局(FBI)は、侵入者たちの身元特定を進め、情報提供を求めている。司法省は、逮捕者は暴動や反乱、政権打倒扇動の共謀などの罪で起訴される可能性があるとしている。

<関連記事>

7日から議事堂を囲む、高さ2メートルのフェンスの設置が始まっている。

下院警備の責任者はすでに辞任。シューマー上院院内総務は上院警備の責任者の解任を要求している。

ジョー・バイデン次期大統領は、「もし議会を襲ったのが『Black Lives Matter(黒人の命も大事だ)』運動のデモ隊だったら、昨日議会を襲ったごろつき連中とはまったく別の扱いを受けたはずだ」と強く非難した。昨年夏にワシントンで警察暴力などに抗議して続いたBLMデモでは、重装備の連邦当局が催涙ガスやゴム弾などを使用して平和的集会を排除することもあった。

米議会警察(USCP)長官は、警官たちは「犯罪的な暴動行為」に直面したのだと説明し、警官たちの行動は「英雄的だった」と述べた。

しかし、ペロシ議長はUSCP長官の辞任を要求。ワシントンの首都警察職員組合は、USCP幹部が「人員や装備においてこのような攻撃に準備不十分だった」と指摘している。

7日午前3時半すぎに連邦議会がバイデン氏の勝利を最終認定すると、トランプ氏は補佐官を通じて、1月20日には整然とした政権移行が行われるという声明を出した。しかし、議会襲撃については触れなかった。襲撃の最中には支持者たちに「君たちが大好きだ、君たちは特別だ」と語りかけ、平和的に帰宅するよう呼びかけるビデオを公表した。

複数のソーシャルメディアは、暴力扇動などの規約違反を理由にトランプ氏のアカウントを凍結。インスタグラムを所有するフェイスブック社は、両方のプラットフォームで大統領職を去るまでアカウントを凍結。永久凍結も検討しているという。ツイッターもトランプ氏のアカウントを一時的に凍結した。

トランプ氏の任期は1月20日正午で終わり、同時にバイデン次期大統領が就任する。

解任の要求

シューマー上院院内総務は、「大統領はこれ以上、1日たりとも在職してはならない」と述べ、政権閣僚は憲法修正第25条を根拠に、解任するべきだと述べた。同条項では、大統領が病気など身体・精神の不調により職務を果たせなくなった場合、副大統領が代行を務める手続きを定めている。

これにはマイク・ペンス副大統領と、少なくとも閣僚8人がこの修正第25条を発動する必要がある。ただし、これに大統領自身は抗議することができる。大統領が書面で抗議した場合、連邦議会が審議する。その際には、両院で3分の2以上の賛成が、大統領解任には必要となる。この手続きの間は、副大統領が大統領代行となる。

ペンス副大統領は、バイデン次期大統領の勝利認定においてトランプ氏の要求に従わなかった。ただし、修正第25条を発動する総意が政権内にあるかは不明。また上下両院、特に下院にはまだトランプ氏の支持者が多数いるため、3分の2以上が大統領解任を支持する見通しは少ない。

ペロシ下院議長は、トランプ氏を「とても危険な人物」と呼び、「これは最高レベルの緊急事態だ」と述べた。

共和党からは、以前からトランプ氏に批判的なイリノイ州選出のアダム・キンジンガー下院議員が修正第25条の発動を呼びかけ、「大統領があおった炎がついにフライパンから飛び出してしまった」と述べた。

メリーランド州とヴァーモント州の共和党知事たちも、トランプ氏の解任を求めた。

下院司法委員会の民主党委員たちは、トランプ氏の行動が修正第25条の発動要件に相当すると表明した。

政府関係者の辞任相次ぐ

議会襲撃を受けて、トランプ政権関係者の辞任が相次いでおり、エレイン・チャオ運輸相も抗議辞任に加わった。

共和党幹部のミッチ・マコネル上院院内総務と結婚しているチャオ運輸相は、トランプ政権発足時に就任。今回の議会襲撃を深く憂慮しており「無視することができない」と辞任理由を述べた。

ほかにも、元首席補佐官のミック・マルヴェイニー北アイルランド特使、マット・ポティンジャー大統領副補佐官(国家安全保障問題担当)、メラニア・トランプ夫人のステファニー・グリシャム首席補佐官のほか、複数の政権関係者が抗議辞任した。

(英語記事 Capitol riot: Calls grow for Trump to be removed from office