2021年01月08日 11:52 公開

今夏開催予定の東京オリンピック・パラリンピックについて、国際オリンピック委員会(IOC)最古参のディック・パウンド委員は、開催できるかは不透明だとの見解を示した。

東京は新型コロナウイルスの感染流行が拡大しており、政府が7日に発令した緊急事態宣言の対象地域となっている。しかし、東京オリンピック・パラリンピックの主催者側は、7月23日~8月8日の開催に向けて準備を整えるとしている。

そうした中、IOCのパウンド氏は、「最大の問題は新型ウイルスの急増なので(開催について)確定的なことは言えない」と述べた。

また、新型ウイルスのワクチン接種について、選手が優先されるべきだとし、日本への入国前の接種を義務付ける可能性があるとした。

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IOCはこれまで、ワクチン接種は義務付けないと表明していた。一方で、「IOCと国際パラリンピック委員会は、できるだけ多くの海外からの出場者に大会前のワクチン接種を実施することで一致している」としてきた。

「アスリートは重要なロールモデルであり、ワクチン接種を受けることで、ワクチンは自らの健康のためだけではなく、連帯と他人の健康に対する思いやりのためでもあるという強いメッセージを放つことができる」

安全な大会に向けて計画

菅義偉首相は7日、緊急事態宣言を出した際に、「危機感」を覚えていると述べた。

大会主催者側は今回の宣言について、「今夏の安全な大会に向けた計画を立てる機会を、大会組織委員会にもたらす」とした。

東京の1日あたりの新型ウイルス新規感染者は7日、過去最多の2447人に上った。政府の対策は主に飲食店を対象にしており、酒類の提供は午後7時まで、営業は午後8時までとするよう要請する。

新型ウイルス感染防止対策が必要になったことで、東京オリンピック・パラリンピックの大会費用は新たに総額2940億円が必要となっている

NHKの最近の世論調査では、今夏の大会開催に反対し、さらなる延期か中止が望ましいと回答した人が多数派となった。

選手たちの精神衛生に負担

日本は新型ウイルスのワクチンに関し、5億4000万回以上の接種ができる量を購入する契約を、複数の欧米企業と結んでいる。日本の人口は1億2600万人なので、全国民に接種するには十分な量だ。

ただ、購入予定の1社である米モデルナは、日本における臨床試験(治験)に関する規定を理由に、国内での承認は5月以降になるとの見通しを示している。

その通りになると、東京オリンピック・パラリンピックの開幕まで2カ月しかないため、モデルナのワクチン接種を大会までに進めるのはスケジュール面で厳しくなることが予想される。同社製ワクチンはすでにアメリカやヨーロッパ、カナダ、イスラエルで承認されているが、日本での治験は今月スタートする予定。

武田薬品工業の今川昌之・日本ワクチン事業部長はロイター通信の取材で、「最善のシナリオ」でもモデルナ製ワクチンの治験にはまだ数カ月を要し、認可取得は5月になりそうだと述べた。

そうした中、東京2020大会の開催が不確実になっていることが、一流アスリートたちの精神衛生にかかる負担を増大させているとの指摘が出ている。

慈善団体スポーティング・マインズの設立者キャラム・リア氏は、「オリンピック出場選手にとってはチャンスは4年に1度しかなく、これが唯一で最後の機会だと思っている人も多い」、「(不確実さに)うまく対処できる人もいるが、人生をかけてきたチャンスが逃げていくと非常に心配する人もいる」と指摘した。

(英語記事 Tokyo 2020 not guaranteed - Pound