一方、「肉とスイーツのまち」と言われる「肉」のゆえんは、福知山の歴史にある。肉食が一般家庭にも普及した明治末期、市内に「山陰常設家畜市場」が開設され、西日本三大家畜市場の一つとして栄えた。こうした経緯で市内には良質の肉を扱う焼肉店や精肉店が今も多数ある。

 「焼肉の高木屋」も昭和35年から続く、肉店が経営する。現在も1階で精肉店、2階で焼肉店として地元客だけでなく、旅行者の人気も高い。

 高木屋取締役の高木須万子さん(66)ら地元の食肉業者たちには、ある目標があるという。それは福知山一円のブランド牛「天田牛」の復活だ。かつては自慢の黒毛和種「天田牛」の良質な肉を扱っていたが、経費がかさむことなどから、今は途絶えている。

 それでも地元の焼肉店などは、「天田牛」のプライドがあるだけに、現在も良質な肉にこだわりながら、安く提供する店として続けている。高木さんは「何とか天田牛を復活させて、肉のまち福知山を今まで以上に盛り上げたい」と語った。

 コロナ禍の現状を見れば、終息が見えず、都市部の店舗はもちろん、人口の絶対数が少ない地方はなおさらだ。だが、だからといってあきらめるわけにはいかない。延期となった東京五輪・パラリンピックの開催に是非があるが、「できないではなく、どうやればできるか」を模索することは重要だ。
 
 これは大打撃を受けている地方観光も同じだろう。それだけに民間の発想と各事業者の努力、そしてそれを支援する行政という、理想的なコラボレーションが福知山で生まれた形だ。
福知山城天守閣=2020年12月(西隅秀人撮影)
福知山城天守閣=2020年12月(西隅秀人撮影)
 もちろん、非接触自動スタンプラリーは「小さな一歩」かもしれない。だが、その一歩こそが、コロナ禍の克服と、かねてから日本の課題として模索してきた「地方創生」のヒントになるはずだ。

 クロスボーダー社でこのスタンプリーを企画した菅原豊取締役は「コロナ禍はいつ終息するのかは分かりません。その中で観光と物産の売り込みなども感染対策をしながら同時にできるように、SNSなどを使って情報を多角的に発信していけるよう企画しました。来ていただける方はもちろん、それが無理な方にはネット販売などにもつながっていければと思います。ぜひ、ほかの地方でも試していただきたい」と呼びかけている。(iRONNA編集部)