大橋一夫(福知山市長)

 福知山市はNHK大河ドラマ「麒麟がくる」の主人公、明智光秀にゆかりが深いことから、福知山城を中心に多くの方々に来ていただいています。その一方で新型コロナ禍に見舞われ、観光誘致と感染対策を並行して行わなければならない事態になりました。

 こうした中で、主に自治体PRなどを担う「クロスボーダー」(東京都台東区、佐藤泰也代表取締役)が企画した「非接触自動スタンプラリー」は、観光庁による誘客多角化を目的とした実証事業に採択され、IoT(モノのインターネット)を使って、withコロナ時代に感染防止と誘客を両立させるという日本で初めての取り組みということで、非常に期待をしています。

 事業は2020年12月~21年1月末ですが、スタートまでの期間が非常に短かった中で、クロスボーダー社をはじめ、関係する民間事業者の方々の尽力で実現でき、大変感謝をしています。

 コロナ禍は、いずれは終息するとは思いますが、今回の事業は新しい生活様式におけるツーリズムの手法の一つになっていくでしょう。

 最も評価している点は、スマートフォンにアプリをダウンロードして実施する方法は事例があるでしょうが、貸与された専用カードだけで可能という簡便さですね。スマホやアプリと言われても、高齢者のみなさんの中には対応できない方もおられるだけに、子供も含めて気軽に参加できますからね。

 ですから、このシステムをきっかけに、多数ある福知山の魅力を一人でも多くの方々に知っていただきたい。特に福知山は肉やスイーツを中心に良質な商品を提供する事業者が多く、きっと満足していただけると自信を持っています。

 また、ただ来ていただくだけでなく、魅力を発信してもらい、地元の特産品などのEC(電子商取引)などに派生するといった、経済効果にも期待しています。

 要するに民間活力によって地方経済の活性化を実現できれば非常に理想的なわけです。当然ですが、行政だけが全部丸抱えできることは限られますし、これからは民間の力と知恵を借りなければ真の対策はできません。

 街づくりというものは、行政が旗を振って先頭を進んでいくのではなく、市民のみなさんが頑張ろうとするその意志にしっかり寄り添うことが重要です。今回の非接触自動スタンプラリーもそうですが、民間活力が貴重かつ不可欠なんです。
「非接触自動スタンプラリー」や地方創生の在り方などについてインタビューに答える福知山市の大橋一夫市長=2020年12月、同市役所(西隅秀人撮影)
「非接触自動スタンプラリー」や地方創生の在り方などについてインタビューに答える福知山市の大橋一夫市長=2020年12月、同市役所(西隅秀人撮影)
 福知山市だけの問題ではありませんが、今、地方は大変厳しい状況です。人口減少を筆頭に、気候変動問題のほか、コロナ対策は喫緊ですね。ただ、福知山市は基礎自治体ですから、医療や介護、子育てといった福祉、それから教育施策の充実などが要諦であることは間違いありません。こうした中で、福知山市にはたくさんの強みがあります。