
2021年01月11日 14:03 公開
新型コロナウイルスの感染拡大が深刻な英イングランドで、ワクチン接種のための大型センターが今週中に7カ所開設され、多くの人々への接種が加速される予定となった。
イングランドの国民保健サービス(NHS)は、一般開業医や病院による接種場所も新たに数百カ所、今週中にオープンすると発表した。それらを合わせると、イングランドの接種場所は約1200カ所に増える。
大型センターが開設されるのは、バーミンガム、ブリストル、ロンドン、マンチェスター、ニューカッスル・アポン・タイン、スティーヴニッジ、サリーの7地区。
各センターでは、毎週数千人規模のワクチン接種が実施できる見通し。
今回の拡張によって、NHSのワクチン接種は史上最大規模になるとされる。今月末までに、介護施設の入居者のほとんどに接種することを目指している。
英政府は2月中旬までに、70歳以上や医療従事者、優先度が高い人ら計1500万人に、ワクチンを接種することを目標にしている。
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今週中には、新たな接種センターから車で45分以内の場所に住んでいる80歳以上の高齢者約60万人に、案内が送付される予定だ。
ただ、感染流行が拡大している中で、高リスクの人々が長距離の移動を求められることを問題視する声も出ている。
NHSは、案内に応じなくても、あとから地域で接種することは可能だとしている。
日別の接種者数を公表へ
マット・ハンコック保健相は、ワクチンの配送計画を記者会見で明らかにする予定。また、政府として初めて、ワクチン接種者の日別の人数を発表する。
ハンコック氏は10日、これまでに国内で約200万人がワクチン接種を受けており、イングランドでは1日あたり約20万人が接種されていると述べた。
イギリスでは現在、米ファイザーと独ビオンテック、英オックスフォード大学と英アストラゼネカがそれぞれ共同開発した2種類のウイルスの接種が進められている。
8日には米モデルナのウイルスも3例目として使用が認められたが、入荷は春以降になるとみられている。
イギリスでは新型ウイルスの死者が8万人を超えている。感染率が特に高い南部サリー州では、病院の遺体安置所がいっぱいになったため、元軍病院に臨時の安置所が設置され、200体ほどの遺体が収容されている。同様の措置は、他の地域でも取られる見通し。
さらに厳しい措置も検討
専門家らは9日、イングランドでさらに厳格なロックダウンが必要になるだろうと警告を発した。
ハンコック氏は10日、BBCの番組で、「規制を緩めようとするたび、致命的な結果になり得る」とし、外出しないことが「社会としてまとまってできる最も重要なことだ」と述べた。
イングランドでは全域でロックダウンが実施されており、食料品の買い物や運動、在宅勤務ができない場合の出勤などを除き、外出が禁じられている。スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの各地域でも、多くの場所で同様の措置が取られている。
政府は10日、さらに厳しい措置の必要性について協議したが、結論は出なかった。現在のロックダウンの効果を示すデータが今後10日ほどで出るのを待つことにした。
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