
2021年01月15日 11:57 公開
新型コロナウイルスの感染症COVID-19の発生源を調べる世界保健機関(WHO)の調査チームが14日、新型ウイルスが世界で初めて検出された中国・武漢市に到着した。当初今月上旬に開始される予定だった調査は、調査チームが中国への入国を拒否されたことで遅れていた。
数カ月にわたるWHOと中国の交渉の末、長く待ち望まれていた新型ウイルスの発生源調査が行われることとなった。
国際的な専門家10人からなる調査チームは2週間の隔離期間を経て、研究機関や病院、新型ウイルスの初期のアウトブレイクとつながりのある海鮮市場の関係者の聞き取りを行う予定。調査は中国当局から提供されたサンプルや証拠をもとに行われる。
COVID-19は2019年後半に武漢市で初めて確認された。
武漢市の生活は比較的日常に戻っている一方で、中国北部では新たに感染が拡大している。こうした中、WHOの調査チームは14日午前に武漢市に入った。
チームを率いるピーター・ベン・エンバレク氏は渡航直前にAFP通信に対し、「何が起こったのかを完全に理解するまで、非常に長い時間がかかるかもしれない」と述べた。
「この最初の任務終了後に明確な答えが得られるとは考えていないが、いずれ得られるようになる」
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中国への入国拒否
WHOは5日、調査チームが中国への入国を拒否されていると明らかにした。WHOによると、調査チームのうち2人はすでに、5日早朝に中国に向けて出発していたが、1人は引き返し、もう1人は第3国でのトランジットで立ち往生する事態となった。
中国政府は誤解が生じたとし、調査のための手配についてはいまだ協議中だとしていた。
武漢市で最初の集団感染が確認されたにも関わらず、中国は長い間、同市が必ずしも新型ウイルスの発生源とはいえないと主張している。
WHOの「世界アウトブレイク警告及び対応ネットワーク」(GOARN)の議長、デール・フィッシャー教授はBBCに対し、世界の人々がこの訪問を科学的訪問だと捉えるよう期待すると述べた。
「これは政治や批判に関することではなく、科学的疑問の真相を探るためのものだ」
そして、ほとんどの科学者は新型ウイルスは「自然発生」したものだと考えていると付け加えた。
感染が再び増加
調査チームが武漢市入りした14日、中国は新型ウイルスによる死者が8カ月ぶりに確認されたと発表した。河北省で女性1人が死亡したというニュースを受け、オンライン上では不安が広がった。
中国は迅速な大規模ウイルス検査や厳格なロックダウン、厳しい移動制限を導入し、新型ウイルスをおおむね抑え込んできた。
しかしここ数週間で、北京市を取り囲むように位置する河北省や黒龍江省を中心に感染者が再び増加している。
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