吉川圭一(グローバル・イッシューズ総合研究所代表)

 先の米大統領選の不正選挙疑惑が払拭されないまま、バイデン氏の大統領就任日を迎えた。そこで、改めてトランプ氏の政治とは何だったのかを考えると、それは「働く者は報われる」という米国の建国精神、つまりピューリタンの精神を蘇らせるための政治だったと言えるだろう。

 トランプ氏は、グローバル経済(中国その他への生産拠点の拡散)からの脱却や、必要以上の外国への介入の見直し(中東からの撤退や中国の影響力が大きくなった国際機関からの脱退)を進めた。

 そして、それによる中国やイランの脅威増加にも経済制裁で対抗し、大規模な軍事介入は行わない代わりに、それによって生じた余裕で国内のインフラ整備などを充実させてきた。

 これらの施策と国内的な減税、規制緩和が相まって、米国内では特に黒人、ヒスパニック(ラテンアメリカ系)、アジア系といった人々を中心に、グローバル経済による弊害を受けていた中下層階級の生活が向上した。このため、トランプ氏は共和党大統領としては異例の高い支持を集めていた。本来なら再選は当然であった。

 だが、トランプ氏の再選は、グローバル経済の恩恵で軍事大国化し、世界を支配しようとする中国や、その中国と裏マネーなどで結び付いた民主党、共和党の一部の政治家にとって、非常に望ましくないものであった。

 2020年初頭から始まった新型コロナの感染拡大や黒人暴動の激化は、中国の息のかかった勢力が裏で糸を引き、悪化させたとの見方も強い。それは民主党の知事や市長である地域でコロナ感染や黒人暴動が拡大していることから、あながち否定できない。

 ただ、こうした逆風が吹き荒れる中であっても、トランプ氏の高い支持によって予測を上回る大量得票をしたため、不正選挙疑惑が広がったのだろう。

 不正選挙はあくまで疑惑とはいえ、非公式の公聴会などで明らかにされたが、深夜に偽の郵送投票用紙が大量に持ち込まれたことを示唆する宣誓供述書やビデオ映像がある。また、中国資本の子会社が作製した電子投票システムで、トランプ票をバイデン票に入れ替えたとされる統計学的解析などもある。

 しかし、裁判所は、これらの証拠を手続き的な問題を理由に退けてしまった。共和党の多数の州議会は、これら証拠に基づいて審議を行い、選挙結果を覆す用意はあったのだが、民主党あるいは一部の共和党の州知事らが、州議会を召集しなかったのも事実だ。

 いかに米国の司法も立法も、中国の影響を受けた民主党や一部の共和党エリートに、都合のいいように動くようになってしまっているかが理解できるだろう。そこで1月6日の上下院合同会議の議長であるペンス副大統領に期待が集まった。
ペンス米副大統領とペロシ下院議長(右)=2021年1月7日、ワシントン(AP=共同)
ペンス米副大統領とペロシ下院議長(右)=2021年1月7日、ワシントン(AP=共同)
 この合同会議で各州から集まった選挙結果が確認されるのだが、米国憲法によれば議長は不正な選挙が行われたと思われる州の選挙結果は、その州に突き返し州議会で再審議させることも可能で、19世期には前例もあった。

 19世期末に制定された選挙人集計法は、上院と下院からそれぞれ議員が1人ずつ異議申し立てを行えば、その州の選挙結果を承認するかどうかを上下両院の過半数で決めることができる。