2021年01月20日 12:10 公開

アメリカのドナルド・トランプ大統領は退任前日の19日、お別れのビデオメッセージを公開し、「我々は想像されていた以上のことを成し遂げた」と述べた。

ユーチューブに投稿された動画の中で、トランプ氏は自分は「厳しい闘い、最も困難な闘い」に挑んだ、「そうするよう、あなた方が私を選んだからだ」と述べた。

トランプ氏は昨年11月の大統領選で民主党のジョー・バイデン氏に破れたが、この結果をいまだ完全に受け入れてはいない。

大統領選の結果をめぐっては6日、結果認定が進められていた連邦議会議事堂に、選挙結果を受け入れないトランプ氏支持者らが乱入し、死者が出る事態となった。トランプ氏退任までの2週間は、襲撃に関与した人物が逮捕されるなど、この事件の余波が広がった。

トランプ氏は「政治的暴力は、我々がアメリカ人として大切にしている全てのものへの攻撃だ。決して許されるものではない」と述べた。

動画の中でバイデン次期大統領の名前には触れなかった。

バイデン氏は20日に新大統領に就任する。

トランプ氏は何と

米下院は13日、議事堂襲撃事件で「反乱を扇動」したとして、トランプ氏を弾劾訴追する決議案を可決。トランプ氏は退任後に上院で弾劾裁判を受けることとなる。有罪評決が出れば、同氏は再び大統領職に就くことが禁止される可能性がある。

トランプ氏は任期中に2度の弾劾訴追を受けた、米史上初の大統領となった。同氏は2019年に下院で弾劾訴追が決議されたが、上院で無罪となった。

政治的動機による暴力行為は、新型コロナウイルスのパンデミックで死者数が増加するアメリカに影を落としている。同国ではこれまでに40万人以上が新型ウイルスによって死亡し、2400万人以上が感染している(米ジョンズ・ホプキンス大学の集計、日本時間20日午前)。

動画の中でトランプ氏は、自身の政権が「世界史上最高の経済」を構築したと述べた。

米株式市場は新型ウイルスのパンデミックの影響から回復し、ハイテク銘柄が多いナスダック総合株価指数は昨年に42%上昇、S&P総合500種も15%上昇した。

しかし、そのほかの面ではさらなる苦戦を強いられている。昨年12月には雇用が削減され、一連の雇用増加に終止符を打った。失業者が増加する中、小売売上高はここ数カ月間減少している。

「我々のアジェンダ(政策目標)は右か左かではなく、共和党か民主党かということでもない。これは国のため、つまり国全体のためのものだった」とトランプ氏は述べた。

トランプ氏の現在の支持率は34%と、退任間際の大統領としては過去最低となっている。

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バイデン氏の就任準備は

バイデン氏と妻ジルさんは19日、地元デラウェア州を出発。バイデン氏は上院議員として36年間、2008年から2016年まではバラク・オバマ政権下で副大統領として過ごしたワシントンへ戻った。

デラウェア州で開かれた送別式典で、バイデン氏は涙ながらに演説。「私が死ぬとき、デラウェアは私の心に刻まれるだろう」と述べた。

バイデン氏は20日にホワイトハウスへ向かい、同日正午に連邦議会での就任式に臨む。

今回の大統領就任式は、他に類を見ない状況下で開催される。議事堂での暴動を受け、ワシントン市内は厳重な警備が敷かれている。州兵数千人が動員されたほか、ホワイトハウスの周りには鉄製のフェンスが設置された。

通常は数十万人もの群衆が会場周辺に駆けつけるが、今回は限られた人数しか議事堂前の公園「ナショナル・モール」には入れない。

就任式に近づかないのは国民だけではない。トランプ氏は就任式を欠席する意向を表明しており、20日朝にフロリダ州へ空路で移動する。

退任する大統領が次期大統領の就任式を欠席するのは、1869年のアンドリュー・ジャクソン第7代大統領(民主党)以来。トランプ氏と同様に弾劾訴追されたジャクソン氏は、後任のユリシース・S・グラント第8代大統領(共和党)の就任式をあえて欠席した。

(英語記事 Trump's farewell: We did what we came to do