2021年01月22日 11:51 公開

米大統領は、ホワイトハウスのオーヴァル・オフィス(大統領執務室)にその人らしい調度品を置く。20日に就任したばかりのジョー・バイデン大統領がどんな調度品を選んだのか、すでに多くの人が注目している。

オーヴァル・オフィスには現在、アメリカ史で重要な役割を果たした指導者たちの肖像画や胸像が並んでいる。

執務室運営の副ディレクターを務めるアシュリー・ウィリアムズ氏は米紙ワシントン・ポストの取材で、「バイデン大統領がアメリカそのもののような執務室に入り、自分がどのような大統領となるのかを示す風景を見せることが大事だった」と説明した。

ドナルド・トランプ前大統領が飾っていたアンドリュー・ジャクソン第7代大統領の肖像画は撤去された。ポピュリスト(大衆主義者)であり、アメリカ史上で唯一、議会から不信任決議をされたジャクソン大統領は、しばしばトランプ氏が自らを重ねていた。ただし、ジャクソン大統領は弾劾訴追を受けていない。

ジャクソン大統領の肖像画のあった執務机の左側の壁には、建国の父の一人であり、著述家、科学者、哲学者だったベンジャミン・フランクリンの肖像画が飾られている。ワシントン・ポストによれば、新型コロナウイルスのパンデミックに立ち向かおうとしているバイデン氏の、科学への関心を示しているという。

執務机の正面にある暖炉のマントルピースには、公民権運動で活躍したマーティン・ルーサー・キング牧師とロバート・F・ケネディー氏の胸像がある。バイデン氏はこの2人をよく参考にしているといわれている。

他にも公民権運動活動家のローザ・パークスの胸像や、先住民チリカウア・アパッチの彫刻家アラン・ハウザー氏による先住民の騎馬像などが飾られている。この騎馬像は、故ダニエル・イノウエ上院議員(民主党、ハワイ選出)が持っていたものだとワシントン・ポストは伝えている。

さらに暖炉の上には、大恐慌と第2次世界大戦時のアメリカを率いたフランクリン・ルーズヴェルト第32代大統領の肖像画がかけてある。

その両側には、トーマス・ジェファーソン第3代大統領と、当時ジェファーソン大統領と対立したアレクサンダー・ハミルトン財務長官の肖像画が並ぶ。「共和制の枠内での意見の違いは民主主義にとって重要だという象徴」だとバイデン政権は説明する。

ジョージ・ワシントン初代大統領と、エイブラハム・リンカーン第16代大統領の肖像画も、対になって飾られている。

ソーシャルメディアでは、バイデン氏の執務机の後ろのテーブルに、バイデン氏の家族写真と共にメキシコ系アメリカ人セザール・チャベスの胸像があることを指摘する声が多くあがった。チャベスは1960~70年代にかけ、農業従事者の権利を求めて闘った活動家だ。

トランプ氏が2017年に執務室に入ったときに新調した、金色のじゅうたんも撤去されて濃い青色になった。これはビル・クリントン第42代大統領時代の執務室にあったものだという(編集部注:こちらの英語記事は当初、カーテンも付け替えられたと書いていましたが、カーテンはトランプ政権時代のままです。訂正します)。

さまざまなアメリカ軍部隊の旗も、国旗と大統領紋章旗に取って代えられた。

議論を呼んでいた、2度の世界大戦時にイギリスの首相だったウィンストン・チャーチルの胸像も撤去された。

前々代の大統領バラク・オバマ氏はチャーチル像を撤去したが、トランプ氏は就任時にこれを執務室に戻すと約束していた。当時の英外相だったボリス・ジョンソン英首相は、オバマ氏が「大英帝国に対して先祖以来の嫌悪がある」と非難していた。

バイデン政権の報道官は今回、「オーヴァル・オフィスは大統領の個人的な執務室であり、大統領の望みどおりに装飾される」と説明している。

(英語記事 A peek inside Biden's new-look Oval Office