2021年01月23日 11:29 公開

今年開催の東京オリンピック(五輪)・パラリンピックが無観客での開催になる可能性があると、国際オリンピック委員会(IOC)の委員が発言した。

セバスチャン・コー卿は22日、BBCの取材に対し、大会が予定通り開催されると確信しているとして、「騒がしくて情熱的な観客に参加してほしいが、開催できる唯一の方法が無観客ならば、全員それを受け入れるだろう」と語った。

コー卿は陸上競技の国際連盟「ワールドアスレティックス」の会長でもあり、2012年ロンドン五輪では組織委員長を務めた。

一方で英紙タイムズは22日、日本の連立与党幹部の話として、大会を中止せざるを得ないと非公式に結論付けられたと報道した。

コー卿はBBCに対して、もし今年の開催が中止されたとしても、東京で開催するために2024年のパリ大会と2028年のロサンゼルス大会を延期するのは「現実的な解決策ではない」と語った。

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日本の組織委員会とIOCは昨年3月、新型コロナウイルスのパンデミックを受け、2020年の東京大会を1年延長することを決定。五輪は今年の7月23日から、パラリンピックは8月24日から始まる予定だ。

しかし今年に入っても各国で感染拡大が続いていることから、開催自体に疑問の声が上がっている。日本でも、東京などで緊急事態宣言が発令されている。

こうした中で英紙タイムズが、与党幹部の話として大会中止の判断を伝えたことについて、組織委は、日本の菅義偉首相が五輪開催を「固く決意」しており、あらゆる関係者が開催に向けて注力していると反発。IOCも、中止報道は「全くのでたらめだ」と否定した。

国際パラリンピック委員会(IPC)も、「強力な対策や計画の下に、パラリンピックは安全に開催することができるし、そうなるだろう」と声明を発表している。

組織委の武藤敏郎事務総長は、世界的な新型ウイルスのワクチン接種事業が、大会開催のカギになるだろうと話した。

「欧米で広くワクチンが接種されれば、(五輪にも)良い影響があるだろう」

「しかしワクチンは全面的な解決にはならない。期待はしているが、完全に頼ってしまうのも良くないと思う」

コー卿も、「大変な事態には違いない。それを否定するのは、現実を見ていない」と慎重な姿勢を示した上で、「昨年と現在では大きな違いが2つある。ひとつはワクチンで、向こう数カ月で劇的に接種が広がるだろう。そして、開催にはまだ半年ある」と語った。

「加えて陸上競技について言えば、選手は今でも練習施設にアクセスできるし、競技大会も続いている」

英オリンピック委員会のアンディー・アンソン会長はBBCのラジオ番組に出演し、「プランB(次善策)」はなく、東京大会は予定通り行われると聞いていると話した。

また、「外野であれこれ騒ぐのは(中略)選手のためにはならない」と話した上で、「選手は大会に向けて集中する必要がある。IOCも日本政府も開催すると言い続けている。問題はただ、どうやってやるかだ」と述べた。

<解説> ルーパート・ウィングフィールド=ヘイズ、BBC東京特派員

東京五輪は予定通り開催されると、日本政府は言っている。タイムズ紙の報道も否定した。

東京の小池百合子都知事はさらに踏み込み、タイムズ紙に正式に抗議する可能性を示唆した。IOCのトーマス・バッハ会長も批判に加わったが、その否定の仕方には多少、あいまいなところがあった。

東京五輪の開催を疑問視するのは、タイムズ紙が最初ではない。先週には、河野太郎行政改革担当相が開催について「どちらに転ぶかは分からない」と発言し、後に発言を訂正した。そして新型ウイルス感染が新しく確認される人数が1日5000人を超える中、各種世論調査では今年の開催中止を望む声が大半を占めている。

(英語記事 'Tokyo 2020 may be behind closed doors'