2021年01月23日 15:29 公開

ジェイムズ・ギャラガー保健・科学担当編集委員

イギリスのボリス・ジョンソン首相は22日、イギリスで発見された新型コロナウイルスの変異株について、従来のウイルスより致死性が高い可能性があると発表した。

このデータは、新旧の変異株に感染した人の致死率を比較したもの。しかし、実際の数値は不透明なところが大きく、既存のワクチンも効果が期待できるとしている。

イギリスではすでに、これ以外の変異株も広まっている。

ジョンソン首相は官邸での記者会見で、「ロンドンとイングランド南東部で特定された変異株は感染力が強いだけでなく、死亡リスクも高い可能性があるとの証拠があるようだ」と説明した。

「国民保健サービス(NHS)が重圧にさらされているのは、この変異株の影響が大きい」

これまでにイングランド公衆衛生庁、インペリアル・コレッジ・ロンドン、ロンドン大学衛生熱帯医学大学院がそれぞれ、変異株の致死性について研究を行った。

研究で得られた証拠は、政府の「新型呼吸器系ウイルスの脅威に関する諮問グループ(Nervtag)」所属の科学者が評価した。

「Nervtag」はこれを受けて、変異株は死亡リスクが高い「現実的な可能性」があることが分かったが、確証には程遠いと結論した。

政府の首席科学顧問、サー・パトリック・ヴァランスは、データが「まだ確かではない」と説明した。

「これらの数値には不透明なところが大きく、正確なものを掴むためにはさらなる研究が必要だ。しかし、この変異株に致死率も感染力も高いという懸念があることは確かだ」

<関連記事>

イギリスでは昨年9月にこの変異株が発見された。現在ではイングランドと北アイルランドで流行している新型ウイルスのほとんどがこの変異株で、世界50カ国以上にも広がっている。

これまでの研究では、この変異株は他の株に比べて感染力が30~70%高いことが分かっていた。また、致死率も30%ほど高いとうかがわせる兆候が出ている。

これはたとえば、60歳の1000人が感染した場合、従来の株ではそのうち10人が死亡する可能性があったが、変異株だと死者が13人に増えることを意味する。

病院で得たデータでは致死率に変わりはなかったものの、検査で陽性が確認された全員を対象にしたところ、違いが確認された。病院では、医療スタッフがパンデミック対応の経験を重ねるに伴い、治療方法も改善している。

変異株にワクチンは効くのか

米ファイザーと独ビオンテック製、そして英オックスフォード大学とアストラゼネカ製のワクチンは、共にイギリスで特定された変異株に効果を発揮するとみられている。

しかしサー・パトリックは、南アフリカとブラジルで発見された変異株については懸念があると話した。

サー・パトリックによると、「(南アとブラジルの)変異株には、ワクチンが作用しにくいかもしれない特性がある」。

「現時点では間違いなく、イギリスの変異株よりも懸念される。今後も注視して慎重に研究していく必要がある」

ジョンソン首相は、新たな変異株の流入を防ぐため、国境管理をさらに厳しくする準備を進めていると話した。

イギリス政府は15日から、南米諸国とポルトガル、複数のアフリカ諸国からの入国を禁止している。また18日からは全ての国からの渡航者に対し、イギリスへ出発する前の陰性証明取得と、入国後の自主隔離を義務付けた。

(英語記事 UK variant 'may be more deadly'