田中秀臣(上武大学ビジネス情報学部教授)

 マスコミの報道は、一つの娯楽の提供だと考えたほうが分かりやすい。真実の追求や社会的問題の提起という側面はあるが、それでも営利的な動機からニュースという娯楽を供給し、それを視聴者や読者が消費していく。

 娯楽には日ごろのストレスを発散する効用がある。今の新型コロナ危機の感染対策や経済対策を巡る報道を見ていると、まさに国民の不満解消を狙いすぎているのではないか。

 この種の報道のパターンは簡単で、①悪魔理論②全否定か全肯定かの判定、である。

 ①の悪魔理論は、単純明快な二元論で、善(天使)VS悪(悪魔)という二項対立で物事をとらえる。例えば、現在の第3波の拡大は政府の「GoToトラベル」が原因だった、と「悪」として見なしてしまう。今日、その「悪」のイメージは「第3次補正予算にはGoToトラベルが入っているが、今はそれよりも優先する政策があるので予算組み替えが必要だ」という議論に結びついている。

 また、政府は「悪魔」になりやすく、政府のやることはすべて失敗が運命づけられているような報道を好む。さらに、この悪魔理論では、政策ベースで議論することよりも「人間」そのものやゴシップを好む。面白い娯楽になるからであり、それ以外の理由はない。菅義偉(すが・よしひで)首相の言い間違いや会食などが極めて大きくクローズアップされるのもその一例であろう。
衆院予算委員会で答弁する菅義偉首相=2021年1月25日、国会・第1委員室(春名中撮影)
衆院予算委員会で答弁する菅義偉首相=2021年1月25日、国会・第1委員室(春名中撮影)
 ②の全否定か全肯定か、という報道の手法は、「あいまいさの不寛容」と言われている。最近の新型コロナのワクチンに関する話題は、反ワクチン活動かと思うほどに偏っていた。例えば、週刊誌「アエラ」(朝日新聞出版)のツイッター公式アカウントが投稿した見出しが偏ったものであったことは明瞭である。

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さらに、「米国内でのワクチン接種でインフルエンザワクチンの10倍の副反応が出ていることをどう評価するか」「世界一多いといわれる病床を活用できないのはなぜか」についても記事を掲載しています。



 アエラだけではなく、他のマスコミ報道やテレビなどでも、副反応が過度な注目を集めている。もちろん、副反応が「ない」などと言っているのではない。確率的には生じるのが低いとされる問題に、今の日本の報道が偏っていることを言いたいのだ。