2021年02月02日 13:30 公開

レイチェル・シュレア保健担当記者

イスラエルで、新型コロナウイルスのワクチン接種事業によって、60歳以上の感染率や重症化率が低下している兆候が確認されている。

こうした低下は、高齢者と、接種事業が早く始まった地域で顕著に見られるという。

イスラエルは全国的にロックダウンを行っているが、今回の報告により、ワクチンも感染抑制に効果をあげていることが分かった。

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イスラエルの保健省は、100万人近くの医療記録を調査している。そのうち74万3845人が60歳以上で、2回目のワクチンを接種してから最短でも7日間、記録を取っている。

それによると、60代以上で2回のワクチン接種を終えた約75万人のうち、検査で陽性となったのはわずか0.07%に当たる531人だった。

さらに、この中で入院措置が必要となった患者は、軽症から重症まで合わせて38人にとどまった。

一方、これまでに60歳以上の3人がワクチンを打った後に亡くなった。ただしこの3人については、ワクチンで免疫ができる前に新型ウイルスに感染した可能性があるという。

ワクチンの効果が出る前の調査では、感染者は7000人以上、軽~重症患者は700人近く記録されていた。死者は307人に上っていた。

保健省のデータからは、1回目のワクチンを接種してから14日後から、感染や重症化の割合が減り始めることがうかがえる。

2回目の接種を遅らせる戦略、効果は?

2回目のワクチンを打ってから7日後に大きく感染率が下がることは確認されたが、この事実から2回目の接種時期を遅らせる戦略の是非を問うことはできない。イギリスは1人でも多くの人にワクチンを行き渡らせるため、2回目の接種を遅らせる方針を示している。

イスラエルでは一貫して、1回目を受けてから3週間以内に2回目を受けることになっている。一方、1回目のワクチンが少なくとも2週間で効果を発揮するとは期待されていない。

そのため、このデータを持って1回目の効果から2回目の影響を推し量ることは不可能だという。

1回目のワクチンは通常、免疫系がウイルスを認識し、戦う力をつけるまでの時間が長い。

人口900万人のイスラエルには、これまでに500万回分のワクチンが納入された。また、約100万人が2回の接種を終えている。

ワクチンがCOVID-19の発症だけでなく、感染そのものを防ぐかどうかの判断はまだ出ていない。

そのため、まだワクチンを打っていない人も多い現状では、ワクチンを打った人でも他人との距離を保ったりマスクを着けたりするよう指示されている。

ロックダウンも貢献した?

保健省のデータはワクチンを打った人の感染と重症度しか示していない。臨床試験のように、ワクチンを打っていない人を対象にはしていない。

しかしテルアビブ大学のワイズマン科学研究所とイスラエル工科大学の研究者は、感染縮小がロックダウンの効果によるものではなく、ワクチンが要因になっている可能性もあるのか、明らかにしようとしている。

マルカ・ゴーフィン教授、ハガイ・ロスマン氏、エラン・セガル教授、ウリ・シャリト博士の4人は、国がまとめたデータを年齢別、都市別で分析した。

その結果、最初にワクチンを受け、ワクチン接種率の高い地域に住んでいる60歳以上の感染者数と入院患者数が大幅に減っていることが明らかになった。

こうした変化は、初期のロックダウンでは見られなかったという。

研究者らは、この結果によって感染縮小はロックダウンだけでなくワクチン接種と関わりがあるという、時期尚早ではあるものの前向きな兆候が見られたとしている。

また、イスラエル第2の医療サービス企業Maccabiが発表したデータによると、ワクチンを受けた24万8000人のうち0.03%に当たる66人が、2回目のワクチン接種後1週間以上たってから新型ウイルスに感染している。

この66人は全員が軽症で、入院していないという。

保健省とは違い、Maccabiのデータでは、同じような人口集団でワクチンを受けていない90万人との比較もされている。このグループでは同じ調査期間中に、0.9%に当たる8250人が感染した。

Maccabiは、このワクチンは実際には92%の有効性を示していると推測している。これは米ファイザーが臨床試験で得た95%という数値に非常に近い。

(英語記事 Israel's vaccine rollout linked to infection fall