2021年02月03日 14:11 公開

ロシアの野党勢力の指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏に対し、モスクワの裁判所は2日、過去の有罪判決の執行猶予を取り消し、禁錮3年6カ月の刑の執行を決定した。ナワリヌイ氏は刑務所へ収監された。

ウラジーミル・プーチン大統領を批判しているナワリヌイ氏は、先月ロシアに帰国して以来、拘束されている。同氏は昨年8月、致死性の高い神経剤で襲われ、ドイツで治療を受けていた。

ナワリヌイ氏は2014年に横領罪で有罪となり、執行猶予つきの禁錮刑の判決を受けた。その際、警察への定期的な報告が義務付けられた。今回の決定では、同氏がこれに違反したとされた。

裁判所の決定により、ナワリヌイ氏は執行猶予が取り消され、実刑に切り替わる。同氏は過去に1年間、自宅軟禁に置かれており、その分が刑期3年6カ月から差し引かれる。


BBCのサラ・レインズフォード・モスクワ特派員によると、ナワリヌイ氏は今回の決定を聞き、納得いかない様子で肩をすくめた。

ナワリヌイ氏は決定が言い渡される前に、法廷でプーチン氏を「毒殺者」と呼び、自らへの襲撃の責任者だと非難。今回の事件は反体制派を脅かすためのものだとし、「1人を刑務所に送ることで、何百万もの人々を脅しつけた」と述べた。

ロシア政府は、ナワリヌイ氏に対する襲撃には無関係だとしている。ロシア製の化学兵器ノビチョクが使われたとする欧米の専門家の結論も認めていない。

ナワリヌイ氏の弁護士は、今回の決定に対して上訴する考えを示した。同氏が警察への報告を怠ったとされたことについては、同氏がドイツで治療中だったことを当局は知っていたとし、ばかげていると批判した。

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多数のデモ参加者を拘束

モスクワでは、ナワリヌイ氏への支持と拘束への抗議を表明するデモが続いており、暴力的な衝突も起きている。ソーシャルメディアに投稿された動画には、警官らがデモ参加者らを殴打し、拘束する場面が映っている。

抗議デモは、モスクワ以外の国内各地でも起きている。

2日は裁判所の決定を受け、モスクワとサンクトペテルブルクで警察が警戒を強めるなか、多くの市民が抗議の表明に集まった。監視団体などによると、モスクワだけで850人以上が拘束されたという。

欧米が非難

裁判所の決定に対しては、国際社会もすぐに反応した。

ヨーロッパで人権問題を扱う欧州評議会のドゥーニャ・ミヤトビッチ人権委員は、「この決定でロシア当局は、すでに欧州人権裁判所が明らかにしている人権侵害を悪化させるだけでなく、ロシア全国民の権利保護を弱めるというサインを送ることにもなる」とする声明を出した。

イギリスのドミニク・ラーブ外相は、決定を「不条理」と表現。ドイツのハイコ・マース外相は、「確立された人権と法の支配に対するひどい一撃だ」と述べた。

アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は、ナワリヌイ氏の無条件の即時解放を主張。同盟国と緊密に協力して、「国民の権利を尊重しなかった」ロシアの責任を問うつもりだと述べた。


一方、ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は同国のテレビで、「主権国家の内政問題に介入すべきではない」と、欧米諸国をけん制した。

ナワリヌイ氏側は、同氏が先月17日に帰国して拘束された後、プーチン氏が10億ポンド(約1400億円)相当の宮殿を所有しているとする動画を公開。「史上最大の賄賂で」支払われたなどと主張した。動画はこれまで1億人以上が視聴した。

先月30日になって、プーチン氏に近い実業家で富豪のアルカディ・ローテンベルク氏が、「宮殿」は2年前に自らが購入したものだと説明した。

ナワリヌイ氏の拘束に抗議するデモ参加者らは、この件をめぐってもプーチン氏側を批判する姿勢を強めている。

(英語記事 Russia jails Putin critic Navalny despite protests