2021年02月05日 11:09 公開

米連邦議会の下院は4日、共和党のマージョリー・テイラーグリーン下院議員(46、ジョージア州選出)を、陰謀論の拡散や扇動的発言を理由に2つの委員会から除名する処分を可決した。グリーン議員は民主党関係者に対する暴力を支持してきた。

与党・民主党が多数の下院は、賛成230、反対199で、グリーン議員を教育委員会と予算委員会から除名した。共和党からも11人が、除名に賛成した。

米議会において、ひとつの政党が他党による委員会人事に介入するのはきわめて異例。議会委員会は法案審議に大きな影響をもち、どの議員がどの議会委員会の委員になるかの決定は通常は両党幹部にゆだねられる。

グリーン議員は採決の前、自分の過去の発言を「残念」だと述べたものの、謝罪はしなかった。さらに、「自分は真実でないことを信じ込まされていた」と述べ、「うそを広めたという意味ではマスコミも、Qアノンと同じくらい責任がある」と反発した。

「Qアノン」とは悪魔を崇拝し児童を虐待する小児性愛者の国際的ネットワークが存在し、ドナルド・トランプ前大統領がそれを打倒するため戦っているとする保守系の陰謀論で、グリーン議員はその信奉者として知られる。この陰謀論の信奉者が多数、1月6日の連邦議会議事堂襲撃に参加した。

グリーン議員は過去に、2001年9月11月の米同時多発テロや複数の学校での銃乱射事件について「でっちあげ」だと発言したり、被害者につきまとい嫌がらせをしたりしていた。

<関連記事>

議員は昨年11月の議会選で初当選し、今年1月に初登院した。就任以前には、民主党議員たちへの暴力を呼びかけるソーシャルメディアの投稿に「いいね」を押したり、イスラム教徒は公職に就くべきではないなどと発言していた。

下院共和党のケヴィン・マカーシー院内総務は3日に、グリーン議員の発言を非難したものの、当選以前の発言だという理由で処分はしない方針を示した。

4日の採決に先立ち、民主党幹部のナンシー・ペロシ下院議長は、共和党が「極端な陰謀論者を受け入れている」事態を「きわめて憂慮する」と述べた。

一方で共和党は、グリーン議員を委員会から除名すれば、多数党が少数党の委員会人事に圧力をかけられるという危険な前例を作ることになると主張。これに対して民主党は、議会の同僚議員たちに対して危害を加えると脅した議員について下院として何もしなければ、その方がはるかに危険な前例になると反論した。

民主党の下院議員の中には、グリーン議員の議会からの除名を追及していく動きもある。その一方で共和党のマカーシー院内総務は、次に共和党が下院で多数党となった際には報復措置をとると強く反発した。

グリーン議員の主張は

グリーン議員は採決前の審議で、自分の過去の言動について下院選に出馬する前のものだと弁明した。その主張の一部は次のとおり。

  • Qアノンについては信奉者の投稿内容に「偽情報やうそや事実と異なる内容」を見つけて以来、2018年ごろから「信じるのをやめた」
  • 学校での銃乱射事件については、2012年のサンディフック小学校や2018年のパークランド高校などの事件を「でっちあげ」だと主張していたが、この日は「絶対に現実に起きていることだ」と述べた
  • 9/11同時多発テロは起きていないと過去に発言したことについては、「9/11は絶対に起きたこと」で、「フェイクだとは思っていない」と発言を撤回した

「どれも過去の言葉で、私を表す発言ではない」と議員は主張した。

このような発言を繰り返した理由について、自分はアメリカで起きていることに「動揺」していて、政府を信用できずにいたところ、オンラインで陰謀論にめぐり合ったのだと説明した。

その一方で、人種差別的だったり扇動的だったりすると広く非難されている複数の発言については、言及しなかった。その一部は次のとおり。

  • 2019年にはペロシ下院議長が「反逆罪を犯して」おり、それは「死刑に相当する犯罪」だと主張していた
  • 同年には、パークランド高校銃乱射事件の10代生存者を公道で追いまわし、「ひきょう者」などと罵倒した
  • ムスリム女性たちが初めて当選した2018年中間選挙を、「この国の政府に対するイスラムの侵略」と呼んだ

グリーン議員はさらに、2020年大統領選は不正選挙で実際に勝ったのはトランプ氏だったという、広く否定されている主張を続けていることについても、この日の審議では言及しなかった。

(英語記事 Marjorie Taylor Greene: US House votes to punish Republican