2021年02月12日 11:58 公開

アメリカのジョー・バイデン大統領は11日、ドナルド・トランプ前大統領が発令した、メキシコ国境での壁建設をめぐる国家非常事態宣言を撤回した。

バイデン大統領は連邦議会への書簡で、この宣言には「根拠がなく」、今後はこの壁に税金を使うことはないと述べた。

トランプ氏は2019年2月、連邦議会の予算決定権を迂回(うかい)して防衛予算を壁の建設費用に充てるため、非常事態宣言を発令。退任までに250億ドル(約2兆6000億円)を壁の建設に使った。

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バイデン氏は大統領に就任以降、トランプ氏の政策を覆す大統領令を次々と発令している。

先週には、トランプ前政権の移民政策によって引き離された移民の家族を再会させることなどを目指し、3件の大統領令に署名。あわせて、前政権時代の移民政策を全般的に見直すよう指示した。

11日に発表した書簡では、バイデン氏は、壁建設計画に向けて「最適化、あるいは転換されていたすべての資源」の見直しを図ると述べた。

国境の壁建設は、2016年の大統領選におけるトランプ氏の主要な公約だった。

しかし大統領就任後、計画は当時野党だった民主党が過半数を占める下院で大きな反発にあったため、トランプ氏は非常事態宣言でその費用を確保すると発表した。

アメリカでは非常事態宣言を発令することで、大統領が通常の政治手続きを迂回し、防衛予算を利用することができる。

アメリカとメキシコの国境には、トランプ氏が大統領に就任する2017年以前から、すでに1000キロメートル超の柵などが設置されていた。

トランプ政権は新たに130キロメートルほどの壁を建設したほか、既存の約640キロメートルについても新しい構造に作り変えた。

バイデン氏の発表を受け、ラウル・グリハルヴァ下院議員(民主党、アリゾナ州選出)は、「トランプの国家非常事態宣言は決して安全保障のためではなかった」とツイート。「契約を解除し、壁を1フットも延長しないようにしなければならない」と主張した。

一方、トランプ陣営の顧問を務めたジェイソン・ミラー氏はツイッターで、「バイデンは不法移民が大好きだ」と反発した。

しかし、バイデン陣営はトランプ政権時代の移民政策の一部を継続している。

ジェン・サキ・ホワイトハウス報道官は10日、新型コロナウイルスのパンデミックが続く間は、書類を持たない移民を国境警備員が即刻追放できるとするトランプ氏の政策を維持する方針を示唆した。

(英語記事 Biden cancels funding for Trump border wall