2021年02月13日 11:19 公開

米連邦議会襲撃をドナルド・トランプ前大統領が扇動したと弾劾訴追された上院での弾劾裁判で12日、弁護団は「とてつもないうそ」だと反論した。

トランプ氏の代理を務めるマイケル・ヴァン・ダー・ヴィーン弁護士は、前大統領への弾劾手続きは民主党による「政治的動機にかられた魔女狩りだ」と非難した。

1月6日に大統領選に勝ったのはトランプ氏だと主張する集団が、議会によるジョー・バイデン氏の勝利認定を阻止しようと連邦議会を襲撃し、警官を含む5人が死亡した事件について、民主党が多数の連邦議会下院は1月13日、トランプ氏が「反乱を扇動」し、この議会襲撃のきっかけを作ったと弾劾訴追した。

トランプ氏は罪状を否定している。

弾劾裁判で検察官役の「弾劾管理人」を務める民主党下院議員たちは、トランプ氏が6日にホワイトハウス近くで行った演説で、大統領選は不正で圧勝したのは自分だったので、共和党議員を応援するためみんなで連邦議会へ歩こうと呼びかけるなど、支持者による暴力行為を扇動したと批判している。

弾劾管理人たちは、襲撃当日の様子を再現した動画を示したほか、トランプ氏が過去に暴力を容認する言動を繰り返してきたこと、当日に襲撃を抑制する行動をとらなかったこと、襲撃後も後悔の念を示していないことなどを主張。トランプ氏を有罪にしなければ、同じことがまた起こり得ると、陪審員役の上院議員たちに訴えた。

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これに対してトランプ氏の弁護団は12日、議会襲撃に先駆けて首都ワシントンに集まった一部の集団が事前に暴力を計画していた証拠があることから、前大統領が暴力を「扇動したなどという主張はばかげている」と反論。ヴァン・ダー・ヴィーン弁護士は、「起きることがすでに決まっていたことを、扇動などできない」と述べた。

「大統領が、無法あるいは暴力的な行動を、どんな形だろうと願ったり期待したり促したなどと主張するのは、ありえない、とんでもないうそだ。実際には、議会襲撃が始まってから大統領がツイッター経由で発信した最初の2つのメッセージは、『平和的に』と、『暴力はなしだ。我々は法と秩序の政党なのだから』というものだった」とも、弁護士は陳述した。

議会襲撃前にトランプ氏が支持者たちに、「我々は必死にとことん戦う。必死に戦わなければ、もう国がなくなってしまう」と呼びかけたのは、政治演説によくある政治的表現に過ぎないとも弁護士は述べた。

さらにヴァン・ダー・ヴィーン弁護士は、「(民主党は)トランプ大統領に汚名を着せ、検閲し、否定しようとするだけでなく、彼に投票した7500万人のアメリカ人にもそうしようとしている」のだと協調した。

弁護士はさらに、選挙結果に異を唱える法的権利がトランプ氏にはあったと主張。「過去に複数の大統領候補が、いくつもの同じ手続きを使ってきた」と述べ、民主党が2017年にトランプ氏の初当選に抗議した様子をまとめた動画を提示した。

弾劾管理人と同様、弁護団にも最大16時間の陳述時間が与えられていたが、弁護団は約3時間で弁論を締めくくった。

この後に上院議員たちは4時間にわたり、双方に質疑を行った。

弾劾裁判の展開は

今後は証人喚問を認めるかについて採決する。もし証人申請がなければ、弾劾管理人と弁護団の双方が短く論告と最終弁論をした後、評決へと移る。早ければ13日夜、遅くても15日までには、トランプ氏が有罪か無罪かが決まる見通し。

定数100の上院は現在、民主・共和両党が50対50で、上院議長でもあるカマラ・ハリス副大統領の票を合わせると51対50で民主党が多数党だが、弾劾裁判の有罪評決には3分の2以上の賛成が必要。つまり共和党から17人の上院議員が有罪に賛成しなくてはならないが、ほとんどの共和党上院議員はトランプ氏を支持している。

もし有罪となった場合、トランプ氏は今後、大統領など公職に立候補できなくなる可能性がある。

トランプ氏の弁護団や一部の共和党議員は、すでに退任した前大統領に対する弾劾裁判は違憲で民主党の政治的動機によるものだと主張しているが、上院は9日、審理は合憲だと採決した。これには6人の共和党議員も賛成した。

(英語記事 Trump impeachment: Insurrection incitement charge a 'monstrous lie'