2021年02月13日 12:23 公開

イギリス全土で、新型コロナウイルスの新規感染者が減少していることが、英国家統計局(ONS)が12日に公表したデータから明らかになった。複数の変異株が広まっている中でもロックダウンの効果が出ている様子がうかがえるが、マット・ハンコック保健相は「まだ道は長い」と警告した。

ウイルス感染者1人が次に何人に感染させるかを示す「実効再生産数」を意味する最新の「R」は、0.7~0.9と推測され、ここからも新規感染者が減っている様子が見て取れる。これは、感染した10人から次に感染するのは平均7~9人という意味で、イギリスで「R」の値がここまで低くなったのは昨年7月以来。

それでも専門家たちは、感染者数は高止まりしていると警告する。

イギリス政府の最新データ(12日現在)によると、12日には新たに1万5144人の感染が新たに確認されたほか、ウイルス陽性判定から28日以内に758人が亡くなった。

ハンコック保健相は、ONSデータは「明らかに朗報」ではあるものの、国内でいまだ2万4000人が新型コロナウイルスによる感染症COVID-19で入院していると指摘した。

「感染対策は奏功していると、私たちが一丸となってやっていることは良い影響をもたらしていると、誰もが自信を持ってもらいたい。しかし、まだまだ先行きは長い」と、保健相は話した。

イギリス全土のロックダウンがいつ解除されるのかは、はっきりしない。政府に助言する科学者たちは、新規感染が減れば減るほど良いとしている。イギリスでは連日、大勢のワクチン接種が進んでいるものの、拙速に解除を急ぎすぎれば、また感染急増を引き起こす恐れがある。

ボリス・ジョンソン英首相は規制を緩和する場合は、今月22日に始まる週のうちに行程を明らかにすると話している。

英政府は、学校の授業再開を最優先する方針を示している。

秋まで社会的距離か

首相報道官は、社会的距離の維持を今年秋まで継続する可能性を否定しなかった。「国民健康サービス(NHS)への重圧はいまだに相当なもので、厳しい状況にあることは、最新データやエビデンスからもはっきりしている」として、「持続可能な規制緩和に向けて、段階的な対応を示すことになる」と述べた。

ONSデータは、COVID-19症状の有無にかかわらず検査を受けた人たちについてのもので、次のことがうかがえる。

  • イングランドでは80人に1人が感染
  • 北アイルランドでは75人に1人
  • ウェールズでは85人に1人
  • スコットランドでは150人に1人

イングランドで人口あたり最も陽性者が多いのは引き続きロンドンで、2月6日までの1週間で推定60人に1人がCOVID-19にかかっていたとされる。

ONSの統計担当サラ・クロフツさんによると、「感染率は今なお高いが、イングランドをはじめイギリス全土で減少が続いている。イギリスで特定された変異株の陽性率も、イングランドの大部分(ヨークシャー、ハンバー、イーストミッドランド、南西部を除く)で下がり続けている」という。

1400万人がワクチン接種

イギリスではこれまでに1400万人以上が、少なくとも1度は新型コロナウイルスのワクチン接種を受けた。

政府は、最優先される4つのグループ(70歳以上の人や医療・介護従事者、基礎疾患などで感染リスクがきわめて高い人たちなど)の約1500万人に対して、今月15日までにワクチンを提供すると約束している。

ジョンソン首相はビデオ・メッセージで、この目標は実現できそうだと述べ、NHSスタッフや陸軍、ボランティアなどによる「とてつもない国民的な努力」の成果だとたたえた。

イングランドに加え、ウェールズはすでに接種目標を達成したと発表。スコットランドと北アイルランドの自治政府もそれぞれ、近く優先グループへの接種目標を実現する見通し。

1400万という人数には、優先グループ以外の人も多少含まれる。地域によっては今月後半から、60歳以上の人や基礎疾患のある16~64歳の人にワクチンを提供すると、案内を開始している。


<解説> ミシェル・ロバーツ健康担当編集長

データははっきりしている。ロックダウンは、ウイルスを抑制して新規感染者の数を引き下げるという、期待された効果を生んでいる。

とても喜ばしいニュースだが、では規制の一部を解除してももう大丈夫なのか? まだそこまではいっていないと、専門家たちは言う。

たとえば、こういうことだと専門家の1人は説明する。入院中の親類がとても具合が悪くなった後に、回復しつつあると知らされたようなものだと。素晴らしい知らせだが、だからといって「治療」を中止できるわけではないし、容体が今後悪化しない保証があるわけでもないのだ。

まだまだウイルスはたくさん出回っている。私たちが感染する可能性はまだまだある。

国内のワクチン接種事業はとてもうまくいっているが、イギリス国内には、ウイルスから守られていない人、もし感染したらCOVID-19が重症化する恐れのある人が、まだ大勢いる。


(英語記事 Covid: Virus cases are going down across the UK