西牟田靖(ノンフィクション作家、フリーライター)

 尖閣諸島問題に関わって27年、上陸回数は16回に及ぶ。書類送検が13回、罰金1回(10万円)。そんな尖閣の「番人」とも言うべき人物が沖縄にいる。石垣市議会議員の仲間均氏(72)である。彼の経歴は以下の通りだ。

 1949年、沖縄県(当時はアメリカ統治下)宮古島生まれ。石垣市議会議員(7期)。「尖閣諸島を守る会」代表世話人。94年、石垣市議選で初当選、翌95年に尖閣諸島に初上陸以来、各種調査を実施。2012年に「尖閣」を登録商標し、尖閣ブランドの魚を全国に広める活動に取り組む。尖閣の字名変更にも尽力(昨年10月に変更)している。著書に『危機迫る尖閣諸島の現状』がある。

 2012年以降、中国公船が常駐するようになり、様変わりした尖閣の海を仲間氏はどう思うのか。昨年11月の日中外相会談、そして同年12月に行ったという尖閣沖での操業、さらに中国海警法成立についても聞いた(21年1月下旬に電話にて取材)。

――中国の王毅外相が昨年11月に来日して、茂木敏充外相と会談しましたね。
 会談後の共同記者発表を見て、茂木外相はバカだと思ったさ。だってね、「中国海警局と海上保安庁の船がその周辺海域を守りましょう」と言っているにもかかわらず、抗議せずに笑っているだけなんだから。こういう人が大臣だから日本という国は廃れるんだよ。だから私はね、12月の石垣市議会の一般質問で発言しましたよ。「国益のためにならないバカな大臣は早く辞めてもらいたい」って。

――王毅外相はあの場で「所属不明の漁船」や「正体不明の漁船が敏感な海域に侵入している」などというふうにコメントしていましたね。仲間さんは石垣市議会に所属しているから、所属不明にはあてはまらないですよね。
 いや、あれは私のことを言っているんですよ(笑)。どこかに協力してもらうことなくいつも一人旅ですから。だから私のことなの。でも、そんなことを言われても私は平気なんだから。石垣市議会議員になって尖閣に取り組み始めて27年。採算関係なく突っ走って出かけてしまう。だから家計はいつも火の車だよ(笑)。

――今年(2021年)も尖閣で漁をしてきたんですか?
 年末に漁をしてきましたよ。予報で「波が2・5メートル」とおさまったところで出航したんですよ。ところがね、尖閣に着いた途端に4メートルの大シケですよ(笑)

――新しい漁船を手に入れたそうですね。
 その新しく入手した鶴丸(9・1トン)で行きました。和歌山県串本町に使われず港に浮いていたマグロ漁船。それを2019年5月に購入した後、半年かけて、修理・塗装、GPS(衛星利用測位システム)や自動操舵といった装備をそろえたんです。
出航準備をする「鶴丸」=2020年12月26日(仲間均氏提供)
出航準備をする「鶴丸」=2020年12月26日(仲間均氏提供)
――購入の交渉をするにしても、石垣から和歌山ではずいぶん離れていますよね。
 和歌山在住の和田天寿さん(67)が購入から整備まで何から何まで協力してくれました。この方は神社の神主だった人でね、いろんな人助けをしてきた方。見ず知らずの私にね、「あなたはこれまで命がけで尖閣に取り組んできたんだから、ぜひ協力させてください。お金のない者同士、日本の国を守るために汗をかきましょう」って言ってくれてね。串本町を出航したときは、感謝の気持ちがこみ上げてきて、涙が止まりませんでしたよ。