――なるほど、志のある方の協力があったんですね。その後、鶴丸を石垣まで持ってきた後、尖閣に向かわれたんですね。
 そうです。ただね、11月初旬からずっと大シケが続いていたのでね。なかなか出航できなかったよ。先ほど申し上げた通り、12月26日の予報で波が2・5メートルとそれまでに比べて穏やかになったので、出航したんです。12月26日午前5時、海上保安庁の臨検を受けた後、石垣市の登野城漁港をね。

――乗組員は?
 船長と私の他に漁民の方と見習いの計4人。出航した後、GPSが使えないことに気がついて登野城港に一度引き返しました。それでGPSが動くのを確認して、午前9時にもう一度出航しました。

――現場に到着したのは?
 その日の午後2時半ごろ。12~24海里の間の接続水域にね。魚釣島の南東約20キロに位置する北小島と南小島の付近に。雨が降ってどんよりと曇って薄暗くてね、海上は波の高さが4メートルというとんでもない大シケでね。大変だったよ。でもね、鶴丸はもともとシケに強いマグロ漁船だったから、転覆せず、無事だったさ。

――どんなふうに大変だったんですか?
 手すりとか、船のどこかに掴まっていないと体ごと持っていかれるような状態。操縦している船長が私のところに転がってきて、私は腰を打ってしまいました。帰ってきてから1週間ぐらい動けなかったよ(笑)。船酔いはしなかったさ。人間、心配すると船酔いをしないんですよ。

――まずは、魚を釣っていたときの様子を教えてください。
 北小島・南小島の南東約1キロのポイントで、釣りを始めました。釣り糸に10個の針が枝状になった仕掛け。そこにエサをつけて、巻上機を使って深さ約100メートルのところに針を下ろしていくんです。帰投するまでに2回。1回目は8匹、2回目は7匹釣れました。釣れたのはどちらもマーマチ(ヒメダイ)。黄金色の魚で、石垣ではキロ700円ぐらいします。

――高級魚であるアカマチ(ハマダイ)は釣れなかったんですか?
 もちろん私らだってアカマチを釣りたいわけよ。だけどもアカマチがいる海域はものすごいシケだったから行けなかった。アカマチなら正月の相場だからキロ5千円ほどもしたからね。アカマチがたくさん釣れていたら、燃料代もすべてまかなえたし、利益も出たわけさ。

――現場海域には中国海警局の船はいた?
 いたさ。鶴丸から200~250メートルほどの距離に中国海警局の公船が接近してきました。1隻は3千トンクラス(海警2302)、もう1隻は4千トンクラス(海警1401)。でも、鶴丸には近寄れません。というのも鶴丸の左右に海保の小型巡視船(180トン型)が100メートル付近に張り付いていたんです。午後4時すぎに鶴丸が領海内に入ると、海警局の公船は躊躇(ちゅうちょ)なく領海侵犯して追いかけてきたよね。一方、海上保安庁の巡視船は出航した時点から追尾してきたね。
石垣市議の仲間均氏=2020年8月(筆者撮影)
石垣市議の仲間均氏=2020年8月(筆者撮影)
――シケていても、日中両国の公船がいるんですね。
 そのとき私は不思議に思ったんです。なぜ海警局の船が待ち構えていたかとね。魚釣島から大正島までは110キロ。その間を海上で移動すれば、早くて2時間、今回は大シケだったので4時間はかかるでしょう。