――中国海警局の公船は基本的に魚釣島・北小島・南小島周辺にいるという印象なんですけど。
 そうじゃないんですよ。われわれの1週間前に宮古島の船が追われたのは大正島ですよ。その前の与那国島の瑞宝丸も大正島。出航する前に、海上保安庁に問い合わせたら「中国公船は大正島の方に入っている」って言ったのにもかかわらずですよ。とするとね、情報がすべて漏れていた可能性が高いということ。中国海警局に情報を伝えているスパイが石垣にいるのか。それとも海上保安庁が教えているのか。

――スパイ疑惑についての報道、昨年ありましたね。
 もう一つはね。中国の人民解放軍の人工衛星です。海警局の衛星は精度が低いので漁船の動きは拾えない。だけど軍の衛星ならば拾える可能性がある。というのも、中国海警局が軍の指揮下に置かれたのが2018年7月。軍の指揮下に置かれたことで、軍の人工衛星がわれわれの漁船の位置を拾って中国海警局に教えているんじゃないですか。それが私の見解です。

――なるほど、海警局の公船は、何らかの方法で情報を得て、現場で待ち構えていたんですね。
 でね、その海警局の公船の外側に海上保安庁の巡視船(1千~1500トンクラス)がいました。鶴丸の前方には2隻、後方には1隻。海上保安庁の船は合計7隻いました。中国公船がわれわれの漁船に近寄ってこられないように海上保安庁の巡視船が7隻体制でカバーしたんですよ。海警局の船はどんなに離れていたとしても250メートルぐらいかな。

――中国海警局の公船が武装しているという噂をよく聞くのですが、それは本当ですか?
 大きいほう(3千~4千トン)は海上保安庁と見た目、装備は変わらないようでした。2千トンクラスの公船には、一見したところ放水銃だけだが、武器は隠しているはず。ただ、放水銃にしても船は破壊できるからね。

――そのとき、海警局の公船や海保の巡視船の動きは? 発砲してきたりはしなかったんですか?
 基本は動かずにじっとこちらを見ていましたね。威嚇射撃をしてくることはなかった。だけど、釣っているとき、汽笛を4回鳴らして威嚇されました。

――何時ごろまで漁をしていたんですか?
 日没後の午後6時50分です。マーマチが泳いでいるのは浅い海域、しかも船が進行していないから余計に揺れるわけですよ。針をはずすのも大変な作業でしたからね。ああもうこれは命に関わることだと思って引き上げたんですよ。それで、鶴丸が接続水域を出ると海警局の公船も追いかけてきて。結局、午後8時まで追尾されたかな。その後、鶴丸が石垣市の登野城港に帰り着いたのは約13時間後。そのとき、とっくに朝になっていました。シケのせいでGPSが落下してしまって壊れたからです。

――今回の漁を振り返ってみていかがでしょうか?
 今回、2年ぶりに出かけてみるとね、中国海警局の船の動きが一変していました。われわれの船を追尾してためらいなく領海侵犯しているわけですよ。2012年に中国公船が尖閣にひんぱんにやって来るようになったころは、領海侵犯するのを躊躇していたのにね。つまり、日本側が攻撃してこないってことを知っているから、中国につけ込まれ続けている…ということ。日本がだらしなさすぎるんだよ!

――中国で武器使用を認める海警法が成立して、2月1日から施行されるそうですね。
 次、尖閣へ行ったときに中国海警局の公船が撃ってくるんじゃないですかね。どういう行動をしてくるか、どういうふうに攻撃してくるか、見物ですよ。もしかしたら、最初に攻撃を受けるのは私なんじゃないですかね。面白いでしょ(笑)
尖閣諸島周辺で警戒する海上保安庁の巡視船=2020年12月27日(仲間均氏提供)
尖閣諸島周辺で警戒する海上保安庁の巡視船=2020年12月27日(仲間均氏提供)
――いやいや、笑えないですよ。命だけは死守してください。
 ありがとうございます。でもね西牟田さん。私はね、鶴丸を手に入れましたからね、今後は尖閣にずっと行き続けますよ。尖閣で魚を釣って、尖閣ブランドの魚を世の中に出して行きたいです。尖閣は日本のものだし、石垣市の行政区域だから何ら問題がないわけだから。中国公船が攻撃してこようが何をしようがね。それでこの国が目を覚ましてくれたら、御の字ですよ(笑)

※関連記事
 「尖閣で漁をしたい」中国の脅威に立ち向かうウミンチュの声を聞け

※編集部より
 記事中の中国海警局公船の部分で、事実関係に誤りがある可能性について指摘があったため、記事アップ以降(2月17日)に一部修正しています。