2021年02月14日 10:26 公開

ドナルド・トランプ前大統領が反乱を扇動したとする弾劾裁判で13日、米上院(定数100)は無罪評決を下した。

1月6日の連邦議会襲撃を扇動したと下院に弾劾訴追されたトランプ氏への弾劾裁判で、57人の上院議員が有罪を支持したものの、必要な3分の2以上の67票には達しなかった。共和党からは7人が、有罪を支持した。上院の議席は現在、民主党50議席、共和党50議席となっている。

2度目の弾劾で2度目の無罪を獲得したトランプ氏は、「史上最大の魔女狩りだ」というコメントを発表した。すでに大統領は退任しているため、有罪となっても罷免はあり得なかったが、有罪となった場合、大統領など公職への立候補を禁止される可能性があった。

共和党幹部がトランプ氏の法的責任に言及

共和党幹部のミッチ・マコネル上院院内総務は評決後、トランプ氏は連邦議会襲撃に「責任」があり、「みっともない、無様な任務の放棄」だと批判した。ただし、マコネル氏は評決では、無罪に投票。マコネル氏はすでに、大統領を退任したトランプ氏への弾劾裁判は違憲だという考えを示していた。

民主党が多数の連邦議会下院は1月13日、トランプ氏が「反乱を扇動」し、この議会襲撃のきっかけを作ったと弾劾訴追した。上院での弾劾裁判が2月にずれこみ、すでに退任したトランプ氏について審理することになったのは、1月20日まで上院多数党の院内総務として審議日程を決める権限のあったマコネル氏が、政権交代前の弾劾裁判開始を認めなかったことが大きく関係している。

マコネル議員は無罪評決後、トランプ氏はまだ刑事裁判の場で責任を問われる可能性があると指摘。「(トランプ氏は)まだ決して無罪放免にはなっていない。この国には刑事司法の制度があり、民事訴訟もある。どちらも、大統領経験者を責任から免除しない」と述べた。

評決前の議論は

「弾劾管理人」として検察官の役割を担った下院の民主党議員たちは、評決前の最終陳述で、トランプ氏を無罪にするのは危険だと上院議員たちに警告した。

「1月6日に起きたことはまた起こり得る。これが冷徹な真実だ」と、ジョー・ネグース下院議員は述べた。

「歴史は私たちを見つけて注視している。目を背けないでいただきたい」と、マデリーン・ディーン下院議員は訴えた。

これに対して、トランプ氏を代理するマイケル・ヴァン・ダー・ヴィーン弁護士は、弾劾手続きを「見せしめ裁判」と呼び、民主党はトランプ氏を弾劾することに「固執」していると批判した。

「この弾劾は最初から最後まで、まったくの茶番だった」と弁護士は最終弁論で述べ、「対立する政党がトランプ氏に対する長年の政治的復讐を手当たり次第に追及したに過ぎない」と批判した。

トランプ氏は、「このような目に遭った」大統領は過去になく、「アメリカを再び偉大にするための運動」は「始まったばかりだ」とコメントした。

証人は呼ばず

上院は13日、いったんは証人喚問を認めた。もしこれが実現していたら、評決は何日も延期される可能性があったが、手続きの遅れを回避するため、与野党が調整した結果、証人証言は書面提出のみを認めることになった。

この二転三転は、1月6日に議会が襲撃されている最中に、トランプ氏と共和党幹部のケヴィン・マカーシー下院院内総務が電話でやりとりした会話をめぐってのものだった。

共和党のジェイミー・へレーラ=バトラー下院議員は、マカーシー議員から当日聞いた話だとして、暴徒に襲撃をやめさせるよう呼びかけてくれとマカーシー議員が大統領に懇願したものの、トランプ氏は応じなかったのだと話していた。

へレーラ=バトラー下院議員は弾劾訴追に賛成し、マカーシー議員から聞いたという当日の会話の内容を明らかにしていた。それによると、トランプ氏は議会を襲っているのは極左活動家集団の「アンティファ」だと言い、これに対してマカーシー議員が議会を襲っているのはトランプ派だと反論すると、「大統領は、『じゃあケヴィン、その人たちは君よりも選挙結果に怒っているんだろうな』と述べた」のだという。

民主党側はへレーラ=バトラー下院議員の証人喚問を求めていたが、トランプ氏の弁護団はこれに対抗するため数十人の証人を喚問するなどと反論。審理の膠着(こうちゃく)を避けたい与野党協議の末、結局は証言の書面提出にとどまった。

(英語記事 Trump impeachment: Senate falls short of majority needed to convict