
2021年02月17日 14:49 公開
韓国政府は16日、北朝鮮との国境に位置する非武装地帯(DMZ)を通過した北朝鮮人とみられる男性を確保したと発表した。
韓国軍はこの日、DMZを通過したこの男性を3時間にわたって追跡。DMZは有刺鉄線で厳重に防備され、地雷が設置されている。
この男性が脱北を試みたのか、現在調査が進められている。
DMZを通過しての亡命は非常に珍しいが、昨年11月にも似たような事件が起きている。
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男性は16日午前4時20分に、DMZ東側の検査所付近で発見された。この男性が一般市民か軍人かは明らかになっていない。
韓国の合同参謀本部は声明で、「この男性は北朝鮮人とみられており、どのようにやって来たのか、亡命の意思があるのかなど詳細を調査している」と発表した。
また、セキュリティー侵害の観点からも調査するとしている。
昨年11月の事件
DMZでは昨年11月、北朝鮮の元体操選手が国境の柵を飛び越えて韓国に亡命した。
調査の結果、国境に設置してある監視センサーのネジが1つ緩んでおり、発見されずに通過が可能だった。韓国のセンサーは、柵に衝撃が加わると警備員に通報されるようになっている。
この調査を受けて、韓国軍は同国側のセンサーをすべて検査すると発表していた。
北朝鮮の最高指導者である金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記は2011年に実権を握って以来、韓国や中国との国境の警備を強化しているとみられ、多くの地雷が設置されている。
しかし毎年約1000人が北朝鮮から脱出しているという。多くの脱北者あ中国側の国境を越えるが、北朝鮮に送還されるリスクもある。
一方、DMZを通過するのは非常に危険だ。北朝鮮軍に見つかって拘束された場合、尋問のために強制収容所へと送られるのは必至だ。また裁判にかけられ、長期間、強制労働に従事することになる場合もある。
北朝鮮と韓国の国境およびその防衛施設は、1953年に朝鮮戦争が休戦に入った際に設置された。両国は和平条約を結んでおらず、事実上まだ戦争状態にある。