たとえば銀行では三井住友銀行とみずほ銀行、航空会社ではANAとJALが揃ってスポンサーになっている。新聞社にいたっては、読売、朝日、日経、毎日、産経、北海道新聞の5社にものぼる。

 組織委はこれらスポンサー企業の顔色をうかがった。コロナ禍により大会が1年延期されたことで、大会運営には追加費用が生じている。その経費をまかなうにもスポンサー企業の協力が必要だ。事実、国内スポンサー全68社は昨年12月、計220億円を超える協賛金の追加負担を受け入れたばかり。

 しかも大会が無観客で行われた場合、チケット収入がゼロになるため、その補填も必要だ。それを考えると、組織委としてはスポンサー企業の意向は最大限、尊重する必要がある。

 そのスポンサー企業が恐れたのは、SNS上で激増した不買運動の呼び掛けだった。実際「消費者から苦情や抗議を受けるなどの影響があった」と打ち明ける関係者は多く、スポンサーを降りるべきだとの声が寄せられた企業もあったという。

 このままでは企業イメージの低下にもつながりかねない事態に、「まさかコロナに加えて、こんなドタバタに巻き込まれるとは……」と困惑するばかり。これを鎮めるには森発言を否定するしかない。こうしてスポンサー企業からの批判が相次ぎ、発言から9日後の2月12日、森会長は無念の中で辞任を表明したのである。

 いま、森会長の後任選びが急ピッチで進められているが、スポンサー企業からは冷ややかな視線が向けられている。
写真はイメージ(ゲッティイメージズ)
写真はイメージ(ゲッティイメージズ)
「組織委の立て直しや森氏の後任選びは早急にやっていただきたいが、今さらスポンサー契約の見直しもできない中、われわれとしては何とか東京五輪が開催されて成功することを願うばかり。そのためには誰が後任になっても構わない」(スポンサー企業関係者)

 結果的には、多くのスポンサーを集めたことが、森会長の辞任を後押ししたのだから皮肉というほかない。このまま巨額の協賛金を支払ったスポンサー企業が割を食う形になるのか──。残された時間はわずかだ。

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