女性の社会進出について、日本は極めて遅れているといわれている。企業の管理職における女性の割合は、わずか14・9%(総務省統計局)である。基準は異なるが、国際労働機関のデータベースによるとドイツ29・4%、フランス34・5%、英国36・3%、スウェーデン38・6%、米国40・7%である。また、「下院議員または一院制議会における女性議員の比率、193カ国ランキング(Women in Politics: 2019)」で日本は165位(衆院10・2%)にとどまっている。

 女性の社会進出の低さが、日本社会・経済の成長の可能性を阻害しているのは明らかだ。それについて、「昭和の保守派」たちはどうお考えなのか、お聞きしたいものだ。

 次に、「昭和の保守派」たちに聞きたいのは、彼らが伝統的な「家族」に非常にこだわっていることの弊害だ。「サザエさん」のような一家だんらんが日本の家族のあるべき姿だというのだが、そんな人たちの支持を受けた野党時代の自民党が作成した「自民党憲法改正草案」には、日本国憲法には存在しない「家族条項」と呼ばれる条文(第24条)が追加されている。


(家族、婚姻等に関する基本原則)

第二十四条 家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない。

2 婚姻は、両性の合意に基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。


 これは、日本国憲法第24条の「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立し」という文言を「2人だけで決めて、親を排除しなさいと言っている」「日本の家庭は崩壊の一途をたどり、家族の絆は失われつつある」と批判して設けられたものだ。

 しかし、親から結婚を反対されたとき、憲法を持ち出して駆け落ちを強行するような若者が今の日本に存在しないことは誰にでも分かる。家族の崩壊を憲法のせいだというのは、あまりに論理が飛躍している。

 日本の家族形態が多様化したのは、発展途上の段階から高度成長に入る過程で産業化・都市化が進み価値観が多様化するという、どの国にもありうる普通の変化が起きたにすぎない。国家が価値観を押し付けて、祖父母・夫婦・子供が同居する「標準家族」が多数を占める社会に戻すことなど、絶対に無理である。

 むしろ、家族形態・価値観の多様化という現実を積極的に認めたほうが、日本の少子化の改善、経済成長、社会の発展につながるのではないだろうか。欧米ではシングルマザー・シングルファーザーを認める社会にしたことで、むしろ出生率が上昇したという研究結果がある。

 日本では結婚していない母親から生まれた婚外子の割合がわずか2・3%だが、海外ではなんと、フランスでは59・7%、スウェーデンでは54・9%、と、半分以上が婚外子なのである。そして、フランスもスウェーデンも、1990年代に1・6%台に下がっていた出生率を2%台に回復させることに成功しているのだ。
※写真はイメージです(ゲッティイメージズ)
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 フランスの場合では、事実婚のカップルに対して1999年、税控除や社会保障など、結婚に準じる権利を付与する「パックス婚」の制度が制定されていることが一因と考えられている。結婚の形態の多様化に合わせた柔軟な制度設計にすることで、子供を産みやすい社会になってきたのだ。

 これに対して日本では、価値観が多様化したといっても、いまだに家族という単位へのこだわりが強く、明らかに若者が結婚を重いものと考え、躊躇(ちゅうちょ)する一因となっている。それを、自民党の草案のように規定してしまったら、家族を築くことが余計に重くなってしまい、若者が結婚から遠のき、少子化が進んでしまうのではないだろうか。

 さらにいえば、「昭和の保守派」たちは、皇室の存亡に関わる深刻な問題をどうお考えだろうか。皇位の継承は「万世一系の男系の男子」となっているが、秋篠宮殿下、その長男の悠仁さましか事実上の継承者がいない。