2021年02月18日 15:03 公開

米司法省は17日、世界各地の銀行や企業から計13億ドル(約1380億円)超を盗んだりゆすり取ろうとしたりしたとして、北朝鮮のハッカー3人らを起訴したと発表した。

3人は、悪意ある暗号通貨プログラムを広めた罪にも問われている。全員、北朝鮮にいるとみられ、拘束はされていない。北朝鮮は、アメリカで犯罪に問われた自国民の引き渡しをしていない。

関連で、カナダ系アメリカ人1人も資金洗浄(マネーロンダリング)の罪で起訴された。

被告らは、2017年のサイバー攻撃「ワナクライ」(Wannacry)への関与でも訴追されている。この攻撃では、イギリスの国民保健サービス(NHS)のコンピューターシステムが全国的に機能しなくなり、病院での手術や予約をキャンセルせざるを得なくなった。そのほか150カ国以上でも被害が発生した。

起訴を発表した司法省のジョン・デマーズ次官補(国家安全保障担当)は、北朝鮮が「国旗を掲げた犯罪組織になっている」と述べた。

軍情報機関の職員か

今回起訴されたパク・ジンヒョク被告は、ソニー・ピクチャーズエンターエインメントがハッキング被害を受けた2014年の事件に関わったとして、2019年に訴追されている。

パク被告とチョン・チャンヒョク被告、キム・イル被告の3人は、犯罪の謀議と、通信詐欺や銀行詐欺の謀議の罪に問われている。

司法省は被告らについて、北朝鮮軍の情報機関、偵察総局(RGB)の職員だとしている。

デマーズ次官補は、「北朝鮮の工作員らは、銃ではなくキーボードを使い、札束ではなく暗号通貨のデジタルウォレットを盗んでおり、世界有数の銀行強盗犯だ」と述べた。

あわせて起訴が発表されたカナダ系アメリカ人は、カナダ・オンタリオ州ミシサガ出身のガレブ・アラウメリー被告(37)。17日に発表されたのとは別の事件で、北朝鮮人グループの資金洗浄役を担ったとされる。当局によると、起訴内容を認めているという。

BBCのジョー・タイディ・サイバー担当記者は、今回の起訴で、北朝鮮が経済立て直しのため、金銭を得ることを目的にサイバー攻撃を重ねていることが改めて示されたと解説した。

映画をきっかけに

北朝鮮人の被告3人は、米政府の防衛、エネルギー関連の契約企業を狙った攻撃も仕掛けていた。この事件では、国務省と国防総省の職員らがだまされ、ハッカーにコンピューターへのアクセス権を与えた。

「北朝鮮ハッカーの犯行は範囲が広く、長期にわたり、驚くべきものだ」と、司法省のトレイシー・ウィルキンソン連邦検事は話した。

ソニー・ピクチャーズエンターエインメントへのハッキング攻撃については、同社製作の2014年の映画「ザ・インタビュー」がきっかけだったとみられている。

セス・ローゲン、ジェームズ・フランコ出演のこの風刺作品は、北朝鮮の最高指導者・金正恩朝鮮労働党総書記を笑いものにする内容で、架空の暗殺計画が物語の中心になっていた。

(英語記事 US charges three North Koreans over $1.3bn theft