2021年02月23日 12:54 公開

米連邦最高裁は22日、ドナルド・トランプ前大統領に対して、納税記録など財務記録をニューヨーク州のマンハッタン地区検察に提出するよう命令した。

ニューヨーク州のサイラス・ヴァンス地区検事(民主党)は、トランプ氏が米男性誌プレイボーイのモデルやポルノ女優と性的関係をもち、2016年大統領選の前に口止め料を支払ったとされる件に関連し、トランプ一族の企業による粉飾決算などを調べている。ヴァンス検事はこの捜査の一環として、トランプ氏の8年分の納税記録など財務資料の提出を求め続けてきた

最高裁が今回開示を命じた財務資料は、マンハッタン地区検察が捜査のため招集した大陪審に提示される。この資料をもとに検察が起訴した場合は、その内容が一般にも公表される可能性がある。

トランプ氏はこれまで自分の納税記録の提出要求を「魔女狩り」と呼び、抵抗し続けてきた。22日には、ニューヨーク州の地検が自分を不当に標的にしていると反発し、最高裁はその「別件捜査」を認めるべきではなかったとするコメントを出した。

トランプ氏は、昨年7月に最高裁が検察への資料開示を命じた後も「対象が広範囲すぎる」と反発。最高裁はいったん審理を下級審に差し戻したが、昨年10月にはニューヨーク連邦高裁が改めてトランプ氏側に提出を命じていた。

複数の米報道は、今回の最高裁判断によって、トランプ氏は納税記録の提出を余儀なくされるはずだとしている。

アメリカでは1968年以降、大統領候補が納税記録を公表するのが慣習化していたが、トランプ氏はこれに応じなかった。内国歳入庁(IRS)の監査が終われば発表すると言い続けたが、公表しないまま任期満了となった。

アメリカでは重大事件について大陪審が、起訴に相当するだけの証拠があるかを判断する場合がある。検察が一般市民から選んだ陪審員で構成され、証拠提出や証言を命じるなど捜査権限が与えられる。

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ポルノ女優らへの「口止め料」支払いについては、手続きを処理したという元顧問弁護士のマイケル・コーエン受刑者(仮釈放中)がすでに選挙資金法違反、脱税などの連邦法違反で禁錮3年の有罪判決を受けている。一方でトランプ氏は女性たちとの「不倫関係」を否定し、昨年7月の最高裁判決は「純粋に政治的なもの」だなどと反発していた。

ヴァンス検事は、財務資料の提出を必要とする捜査は「口止め料」支払いにとどまらず、トランプ一族の企業「トランプ・オーガナイゼーション」による粉飾決済や保険金詐欺の疑いなども対象に含まれるとしている。さらに、トランプ氏が保有資産について損失計上など租税回避策を繰り返していたという報道やコーエン元弁護士の発言についても捜査しているという。

(英語記事 Donald Trump ordered to hand over tax returns to prosecutors