2021年02月24日 14:18 公開

米フェイスブックは23日、オーストラリアのユーザーに対するニュースコンテンツ提供を再開すると発表した。

オーストラリア議会は現在、フェイスブックやグーグルなど大手テクノロジー企業に対し、ニュースコンテンツを提供する企業に代金を支払うよう義務付ける法案を審議中。これに反発したフェイスブックは18日、同国でのニュース提供を停止する措置を講じていた。

オーストラリアのジョシュ・フライデンバーグ財務相は、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)と会談した。その後、ザッカーバーグ氏が「数日以内に」ニュース提供停止を終了すると述べたと発表した。

一方で、法案に修正が加わることも明らかにし、「フェイスブックはまたオーストラリアと友好関係に戻った」と話した。

法案は先週、下院を通過し、現在は上院で審議されている。他国も同様の規制に関心を示しており、オーストラリアの動向に注目が集まっている。

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オーストラリアでは18日朝から、国内外のニュースサイトがフェイスブック内で提供するページが閲覧できなくなった。また、同国ニュースサイトのフェイスブックページは、国外からも見られなくなっていた。

オーストラリア当局は、苦境に立たされる国内メディアとテクノロジー大手との間に、利益面での「公正な競争の場」を設けるとして、今回の法案を提出した。

これに対しフェイスブックやグーグルなど米テクノロジー各社は、この法案はインターネットの仕組みを反映せず、プラットフォーム各社に不公平な「ペナルティー」を科すものだと批判。「メディアとの関係の実態を無視した法律を順守するか、オーストラリアでのニュースコンテンツ提供サービスを中止するか、厳しい選択を迫られ」、後者の措置に踏み切ったと説明した。

フェイスブックはまた、「フェイスブックがニュースから得る利益は最低限にとどまっている」と述べている。

一方、23日夜までに、ガーディアン・オーストラリアやルーパート・マードック氏経営のニューズ・コープなどが、フェイスブックとの交渉を再開したと報じられた。

大手セヴン・ウエスト・メディアは声明を発表し、フェイスブックにニュースコンテンツを提供するための覚書を交わしたことを明らかにしている。

なぜフェイスブックは方向転換を?

フェイスブックは23日、政府との協議で確信を得たと話した。

グローバル・ニュース・パートナーシップ担当のキャンベル・ブラウン副社長は、「豪政府は、フェイスブック上にニュースコンテンツを載せるかどうかの判断を我々に残すと明確にした。自動的に交渉を強制されることはなくなった」と説明した。

「その上で、我々が選んだニュースメディアを支援できるよう合意を結んだ。これには中小企業やオーストラリア企業も含まれる」

フェイスブックはすでに、イギリスとアメリカで「フェイスブック・ニュース・タブ」という機能を展開している。プラットフォーム内にニュース記事を表示するタブを設け、掲載されたメディアに料金を支払う仕組みだ。

グーグルも法案を受けてオーストラリアから検索サービスを撤退させると述べていたが、最近になって地元メディアと支払い契約を結んでいる。

法案はどうなる?

オーストラリア当局は今後、さまざまな修正を法案に加える方針。フェイスブックが国内のジャーナリズムに「多大な貢献」をしていると認めた場合、法律の適用を控除される条項なども含まれる。

また、政府が仲裁に入る前に2カ月の調整期間を設けることで、テクノロジー大手とメディア各社に合意形成の時間を与えることも盛り込まれる。

オーストラリア最大のメディア企業ナイン・エンターテインメントは、政府が妥協点を見つけたことを「喜んで」おり、フェイスブックと商業契約に向けた話し合いが再開できることを楽しみにしていると発表した。

BBCのジェイムズ・クレイトン北米テクノロジー記者は、この法案に異議を唱えていたのはフェイスブックだけではないと指摘。

ワールドワイドウェブを発明したサー・ティム・バーナーズ=リーも、テクノロジー企業が一定のコンテンツへの支払いを強制されれば、インターネットが「機能しなくなる」可能性があると懸念を表明していると述べた。

また、政府とフェイスブック双方が動きを見せ、勝利を宣言したものの、一連の出来事でフェイスブックは大きなダメージを受けたと分析した。

(英語記事 Facebook reverses ban on news in Australia