2021年02月25日 11:23 公開

新型コロナウイルスのワクチンの公平な配分を目指す国際的な枠組み「COVAX」による最初のワクチンが24日、西アフリカのガーナに運び込まれた。

英アストラゼネカのワクチン60万回分がこの日、首都アクラに到着した。来週から医療従事者を対象に接種を始める予定。その後、60歳以上の人や基礎疾患のある人、高官などが優先的に接種を受ける。

COVAXは、富裕国と、ワクチンを買うことができない貧困国の「ワクチン格差」を縮めることを目的としている。

今年末までに世界190カ国にワクチン計20億回分を届ける計画だ。比較的貧しい92カ国が比較的豊かな98カ国と同時にワクチンを手に入れることに、特に力を入れている。

ガーナは、国内での素早い配分が可能だと表明し、COVAXが定める基準も満たしていたことから、無料ワクチンの最初の受け取り国に選ばれた。ガーナの人口は3000万人強。

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運び込まれたワクチンは、アストラゼネカと英オックスフォード大学が共同開発し、セラム・インスティチュート・オブ・インディア(インド血清研究所)で製造された。世界保健機関(WHO)の承認を受けたもので、接種は臨床試験ではない。

今週中には隣国コートジボワールにもワクチンが届けられると、COVAX側は述べている。


低所得国に配分されるワクチンは、寄付が元になっている。COVAXの協力国はワクチンの確保と運搬に加え、接種を実施するスタッフの訓練や、低温での適切な管理・運搬システムの提供などを、受け取る側の国に対して行う。

富裕国は余剰分を寄付

すでに数カ月前からワクチン接種を進めている多くの先進国は、必要以上のワクチンを購入・発注しているとして批判の的となっている。

ただそうした国の多くは、ワクチンの効果が不明な開発段階で、製薬会社に発注していた。複数の注文を出すことで、リスクを減らしていた。

イギリスは4億回分のワクチンを発注しており、多くの余剰が生じる。余りのほとんどは貧困国に寄付すると、同国は表明している。

COVAXはWHOが主導し、国際組織「ワクチンと予防接種のための世界同盟(GAVI)」や「感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)」と連携して取り組んでいる。

貧困国が費用負担なしに、人口の最大20%にワクチンを接種できることを目指している。

アフリカの多くの国がCOVAXの受け取り国となっているが、セネガルなどいくつかの国はCOVAXの枠組み以外でワクチン入手を進めている。


ガーナにワクチンが届けられたことを受け、WHOと国連児童基金(ユニセフ)は、「パンデミックを終わらせる上で極めて重要」な局面を迎えたとする共同声明を発表

WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長は、大きな前進だが始まりに過ぎないとし、「パンデミックはすべての場所で終わらせない限り、どの場所でも終わらせられない」と述べた。

ガーナでは新型ウイルスの感染者が8万700人を超え、死者は580人に上っている。ウイルス検査の実施率が低いことから、実際の人数はこれより多いとみられている。

ワクチン接種は一般的に子どもを対象にしていないが、ユニセフはワクチンの調達や運搬で実績があることから、COVAXに関わっている。

COVAXの問題

COVAXはこれまでに協力国から60億ドル(約6360億円)の拠出金を受けているが、今年の目標達成には少なくともあと20億ドルが必要だとしている。

取り組みをめぐっては、スピードが遅いとの批判が出ている。オーストリア人のWHO理事クレメンス・マーティン・アウア博士は、ワクチンの確保と運搬が遅れていると指摘している。

米ニューヨーク大学で保健政策を研究するナナ・コフィ・クワキィ氏は、たとえCOVAXの取り組みを通しても、ガーナが富裕国と競いながらワクチン不足を補うのは困難を伴うだろうとBBCに話した。

「ガーナのような国が直面している問題は、オープンな市場では、富裕国と比べると交渉力が強くないことだ(中略)富裕国は必要以上に購入しているケースもある」

(英語記事 World's first doses of Covax vaccines delivered