2021年02月27日 13:12 公開

イギリスのボリス・ジョンソン首相が、新型コロナウイルス対策のロックダウンの緩和に向けたスケジュールを示したことを受け、イギリスでは旅行会社や航空会社に予約が殺到している。

ジョンソン首相は22日、イングランドで続けているロックダウンについて、厳格な条件が満たされれば、6月21日までに段階的に緩和していくと発表した

海外旅行の解禁には疑問の声もあるが、イギリス最大の旅行会社TUIでは、首相の発表後一夜にして海外旅行の予約が500%増えたという。

同じくイギリス本拠の旅行会社ホーシーズンズや貸し別荘サイト「Cottages.com」のオーナー企業は、過去最高となる1万件以上の旅行商品が売れたとしている。

海外旅行の制限緩和の決定は、最も早くて5月中旬以降だと、英政府は説明している。

TUIでは、6月以降にギリシャ、スペイン、トルコを訪れる旅行の予約が一気に増えたという。

<関連記事>

海外旅行がいつ解禁されるか不透明な状況で、国内旅行を選ぶ人もいる。

ホーシーズンズの親会社Awazeのサイモン・アルサム最高商務責任者は、「去年、似たような発表があった後は、ピーク時で11秒に1件の予約があった。今回の需要は期待以上で、去年の記録を余裕で上回っている」と話した。

ナット・ソマーズさんは、ジョンソン首相がロックダウン緩和に関する発表をした後、イングランド北部ヨークシャーへの家族旅行を予約したとBBCに話した。

「ロックダウンが緩和されるのを見越して、ここ数週間、いくつかの場所を検討していた」というソマーズさんは、「8月になれば世の中がだいぶ正常に戻ると期待して、予約することにした」と話した

予約が「殺到」

ジョンソン首相は海外旅行に関し、政府の検討グループが4月12日までに報告書をまとめるとしている。

それを受け、政府として制限緩和について決定する。ただ、決定は5月17日以降になるとしている。

海外旅行がいつ可能になるか、日程は今後、変わりうる。TUIは、5月17日から6月末までの旅行の予約について、手数料なしで後日への変更を受け付けるとしている。

TUIのイギリスとアイルランド部門トップのアンドリュー・フリンサム氏は、政府の方針を「前向きだ」と評価した。

英旅行大手のトーマス・クックは、同社ウェブサイトへのアクセスが22日午後3時以降、2倍以上増えたとした。ギリシャ、キプロス、メキシコ、ドミニカ共和国が目的地の予約が「殺到」したという。

同社のアラン・フレンチ最高経営責任者(CEO)は「休暇で遠くに出かけたがっている人にとって、政府の今日の発表はいいニュースだ」と話した。

「詳細はこれからだが、政府が数カ月のうちに海外旅行を解禁したいと思っているのは明らかで、できれば夏休みに間に合わせてもらいたい」

トーマス・クックの広報によると、夏休みの家族旅行の予約も大きく伸びており、特に8月が多い。10月の学期間の休みとクリスマスの時期の予約をする人も増えているという。

英格安航空イージージェットは、搭乗予約が337%、旅行予約が630%それぞれ急増したとしている。アリカンテ(スペイン)、マラガ(同)、ファロ(ポルトガル)、クレタ島(ギリシャ)などが人気だという。

同社のヨハン・ランドグレンCEOは、ジョンソン首相の発表がイギリス国民に「非常に必要とされていた、強い自信を与えた」と述べた。

「旅行の繰越需要があることはずっとわかっていた。今回の予約の急増は、旅行を再開させるという政府のシグナルこそ、イギリス人が待ち望んでいたことだったということを示している」

ツアー旅行も提供する英格安航空会社ジェット2も、首相の発表から24時間で、予約が1000%増加したとしている。行き先としてはスペイン、カナリア諸島(スペイン)、バレアレス諸島(同)が人気で、7月以降の需要が特に大きいという。

同社のスティーヴ・ヒーピーCEOは「政府の発表は(旅行者が)待ち望んでいた知らせだ。予約が増え続けていることからは、私たちの客がどれほど、実際のパック旅行で日光浴ができる場所に行きたがっていたかがわかる」と話した。

ラムズボトムにある豪華旅行の代理店ネットワーク、デザイナー・トラベルを所有するアマンダ・マシューズ氏は、夏季の旅行の問い合わせと新たな予約が2倍に増えているとBBCに話した。

「3月、4月、5月、それに6月に旅行を予約した人たちから何百件もの電話が来ている。旅行に行けるかどうか、今なお不確実な状況だ」

「海外旅行再開の具体的な日にちが決まっていないので、旅行代理店としては、客が春や夏に向けてすでに予約した旅行について、問い合わせに答えることができない。まったく分からない」

ロードマップが示され、夏の旅行への期待が生まれた一方で、旅行業界には「大きな失望」も広がっていると、小売専門家のケイト・ハードキャスル氏はBBCに話した。中でも、旅行者向けのトレーラーハウスやコテージなど、国内の宿泊施設で目立つという。

「旅行代理店にとってイースター(復活祭、今年は4月4日)は重要な節目だが、その時期の旅行は無理だとこれではっきりした。商機の休暇が1つ減ってしまった」

「イースター休暇は、多くの家族にとって頼みの綱だ。夏休みより安上がりで、費用対効果が高いからだ。値上がりのせいで今年は休暇旅行がまったくできなくなるとすると、ひどい話だ」

ホテル関連のテクノロジー企業、アヴィオのデータは、イギリスの高級ホテルが絶好調だと示している。休暇を楽しもうとする人が国内志向を強めていることから、4つ星および5つ星のホテルの8月の収益は3倍以上に膨らむと予想されている。

その一方で、クラウンプラザとホリデイ・インの両ホテルブランドを所有する国際ホテルグループ、インターコンチネンタル・ホテルズは23日、旅行業界の復調について、ワクチン接種の進展次第で、今年後半以降になりそうだとの見方を示した。

同社のキース・バーCEOは、2億6000万ドル(約276億円)の減益を発表するとともに、「2021年は、多くの課題が残ったまま始まった」と述べた。

(英語記事 Holiday bookings surge on lockdown exit plans