2021年03月01日 11:53 公開

香港警察は2月28日、1月に逮捕した民主派50人超のうち47人について、国家「転覆」を狙ったとして起訴した。昨年6月に施行された、香港での反政府的な動きを取り締まる中国の「香港国家安全維持法」(国安法)に基づく起訴としては最大規模。

1月の逮捕者の多くはその後保釈されていたが、47人は2月28日、3月1日の出廷に先立ち警察に出頭するよう求められた。

中国政府は「破壊的な」行為を犯罪行為とみなす国安法の施行について、香港に安定を取り戻すために必要だと主張している。

これに対し、反対意見を抑圧し、香港の自治権を損なうものだとの批判の声が上がっている。

イギリスのドミニク・ラーブ外相は2月28日、民主派の起訴は「政治的な反対意見を排除」するために国安法が使われている実態を示しているとツイートした。

「国安法は英中共同声明を侵害しており、このような方法での国安法の使用は、中国政府が約束した内容に矛盾している。このような敏感な問題について約束を守るという信頼をさらに損なうだけだ」

誰が起訴されたのか

警察への出頭を求められたのは、2020年9月に予定されていた立法会選挙に向けて民主派が同年6月に実施した非公式の「予備選」に関連し逮捕された、民主活動家や政治家約50人のうち47人。

この「予備選」は立法会選挙でどの候補者が最も有利なのかを見極めるためのものだった。選挙はその後、新型コロナウイルスを理由に延期された。

中国と香港の当局は、「予備選」は政府転覆を狙ったものだと主張している。

香港警察は2月28日の声明で、「警察は本日午後、47人を(中略)『国家転覆共謀罪』で起訴した」と発表した。

起訴されたのは23歳から64歳までの男性39人と、女性8人。3月1日にも西九龍の裁判所に出廷する予定。

47人の中には、戴耀廷(ベニー・タイ)氏、梁国雄(レオン・クオックホン)氏、何桂藍(グウィネス・ホー)氏、張可森(サム・チャン)氏、岑敖暉(レスター・シュム)氏ら、香港の著名な民主化活動家が複数含まれる。

2019年の香港での抗議活動を主催した岑子杰(ジミー・シャム)氏は、警察署に向かう際にも反抗的な姿勢を崩さなかった。

「民主主義は決して天からの贈り物ではない。強い意志を持った多くの人によって獲得されなければならないものだ」と岑氏は述べた。「私たちは強い気持ち続け、自分たちが求めるもののために戦っていく」。

何氏は出頭前に、「誰もが心穏やかになれる方法を見つけ、不屈の意志を持って前進できることを願っている」と投稿した。

張氏は「みんな香港を諦めないで欲しい。(中略)戦い続けて」と書いた。

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国安法で有罪となれば最高で終身刑となる可能性があり、保釈される可能性は低い。戴氏は自分が保釈される可能性は「あまり高くない」とした。

これまでに約100人が国安法に基づいて逮捕された。そのうちの1人、中国に批判的で知られる、香港メディア界の大物で民主活動家の黎智英氏(ジミー・ライ)氏は保釈が認められず、勾留されたまま裁判を待っている状況だ。

本格的な裁判はまだ始まっていない。まずは昨年7月にバイクで警官に突っ込んだ罪に問われている唐英杰氏の裁判が行われるとみられる。唐氏は昨年11月に出廷し、無罪を主張した。陪審員ではなく裁判官3人が審理を進めることになるとみられる。

国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは、55人が逮捕された1月の最大規模の取り締まりについて、「国家安全維持法が、勇気をもって権力に立ち向かう人を罰するための武器として使われている実態を、これまでで最もはっきりと示している」と指摘した。

国安法とは

香港は1997年にイギリスから中国に返還されたが、その際に香港の憲法ともいえる「香港特別行政区基本法」と「一国二制度」という独自のシステムが取り入れられた。これにより香港では、中国のその他の地域では認められていない集会の自由や表現の自由、独立した司法、一部の民主的権利などが保護された。

しかし昨年6月末に国安法が施行されたことで、香港の自治は後退し、デモ参加者を処罰しやすくなった。

香港で逮捕された活動家が、中国大陸に移送され、陪審員のいない秘密裁判を受けることもある。大陸の公安警察が香港で活動することも合法化された。

国安法の施行以来、危険を恐れた複数の民主化グループが解散した。

(英語記事 Hong Kong charges 47 in sweeping use of new law