2021年03月01日 12:13 公開

アメリカのドナルド・トランプ前大統領(74)は28日、フロリダ州で開かれた保守派の集会で演説し、新党を設立する予定はないと述べた。共和党の票を分裂させるからだと、理由を説明した。

トランプ氏は、フロリダ州オーランドのハイアットリージェンシーホテルで25日から開かれていた保守政治活動会議(CPAC)に、予定より1時間以上遅れて姿を見せた。多くの参加者はマスクを着けていなかった。

トランプ氏が演説したのは、民主党のジョー・バイデン氏が大統領に就任して以降初めて。

新党設立の可能性については「フェイクニュース」だと、きっぱり否定。「見事な考えだと思わないか? 新党を作り、票を割り、決して勝たない」と冗談を言った。

「私たちには共和党がある。これまでにないほど結束し、強くなる」

トランプ氏はまた、2024年大統領選に立候補する可能性を示唆。さらにバイデン氏について、米政策が「アメリカ第一からアメリカ最後」に変わってしまったとして、強く批判した。

影響力の強さを示す

トランプ氏は今年1月の連邦議会襲撃事件に絡み、「反乱を扇動」したとして弾劾裁判にかけられたが、2月上旬に無罪評決を受けた

今回のCPACはトランプ氏支持の性格が極めて強く、テッド・クルーズ上院議員(テキサス州)や息子のドナルド・トランプ・ジュニア氏ら、トランプ氏に忠誠を示してきた人々が登壇。同氏が共和党支持者の間でなお影響力を保ち続けていることを示すものとなった。

アメリカの先週の世論調査では、昨年の大統領選でトランプ氏に投票した回答者の46%が、もし同氏が共和党を出て独自の政党を設立したら、同氏に投票すると答えた。

BBCのアンソニー・ザーカー北米担当記者は、トランプ氏の共和党内の影響力は大きいままだが、もし次の大統領選に立候補するとして、それまで維持し続けられる保証はないと分析。トランプ氏はそれを自分の手で獲得するしかないだろうと解説した。

トランプ氏は連邦議会襲撃事件を受け、フェイスブックやツイッターなどのソーシャルメディアから利用を禁じられている。

大統領退任後は、フロリダ州のゴルフリゾート「マール・ア・ラーゴ」内の私邸で暮らしている。

将来の大統領選に言及

トランプ氏はこの日の演説で、「4年前にみんなと一緒に始めた素晴らしい旅は、まだまだ終わらない。それを今日ここで宣言する」と述べた。

「私たちは今日、将来について話し合うために集った。私たちの運動の将来、私たちの政党の将来、私たちの愛する国の将来についてだ」

トランプ氏はまた、昨年の大統領選で敗れたのは選挙で不正があったからだとする誤った主張を繰り返した。その上で、「実際には、ホワイトハウスをめぐる争いで負けたのは向こうだ。もしかしたら、私が3回目となる勝利を飾ろうと決心するかもしれない」と発言した。

バイデン氏については、移民と国境管理をめぐってトランプ氏が示していた強硬姿勢を転換したとして、強く非難した。

「バイデン政権はひどいことになると誰もが分かっていたが、どれほどひどく、どれほど極左的になるかは誰も想像すらしていなかった」

共和党内の分裂

トランプ氏の在任中、共和党議員らは多くの場合で同氏を支持する立場をとった。

しかし、連邦議会襲撃事件を受けたトランプ氏の弾劾訴追では、同党の下院議員10人と上院議員7人がトランプ氏の弾劾を支持。上院の弾劾裁判は、有罪に賛成が57、反対は43で、有罪票が3分の2に届かず、トランプ氏に無罪評決を出した。

共和党上院トップのミッチ・マコネル院内総務は、無罪評決の後、トランプ氏の言動を批判。弾劾裁判では反乱扇動について有罪とするのに反対したが、トランプ氏には暴動を扇動した「事実上とモラル上の責任がある」と強調した。

これを受け、比較的発言を控えていたトランプ氏は一転して、マコネル氏を激しく攻撃。同氏を「気難しく、不機嫌で無愛想な政治屋」と呼んだ

以来、共和党内では分裂が続いている。トランプ氏と距離を置く議員らは、今回のCPACを欠席した。

1974年に始まったCPACは、米保守派の最も影響力が大きい集会とされ、共和党の政治針路を示すものとして注目されている。

(英語記事 Trump rules out starting new political party