2021年03月01日 14:38 公開

アメリカ・ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ州知事(63、民主党)に、複数のセクハラ疑惑が浮上している。クオモ氏は28日、自分の過去の言動が自分の意図しない形で、相手に「迷惑な誘惑」の印象を与えたかもしれないと認め、謝罪した。

米紙ニューヨーク・タイムズは2月27日、クオモ氏からセクハラ被害を受けたとする2人目の元側近の証言を報じた。新たに被害を告発したのは、昨年11月までクオモ州知事の保健政策顧問を務めていたシャーロット・ベネット氏(25)。昨年に嫌がらせを受けたとしている。

クオモ氏は当初、不適切な行為について否定していたが、28日には声明で、「自分は決して誰かを不快にさせたり傷つけたりしようとしたことはない」とした上で、「今では同僚たちへの自分の態度が、鈍感すぎたり、親密すぎたりしたかもしれないと理解した」、「自分の発言が、相手にとって迷惑な誘惑と誤解されたかもしれないと認める。そのように思った人に対しては、本当に申し訳なく思う」と謝罪した。

知事はさらに、「自分は不適切な形で他人に触れたことは一度もないし、誰かに性的関係を持ちかけたこともないし、誰かをわざと不快にさせたこともないが、ニューヨーク州民はこうしたことについて、答えを得るべきだ」として、「だからこそ一連の告発内容を点検するよう、外部の独立調査を指示した」と述べた。

また、ベネット氏が知事の問題行動を告発したことについて、「ベネット氏が名乗り出たことについて、本人に不快感を直接伝えるような人たちがいる」らしいが、「そのようなまねをしている人にはこう申し上げる。私と州政府にとって何が大事か、あなたたちは判断を誤ったし、直ちにやめるべきだ」と、ベネット氏を擁護した。

過去にもセクハラ告発

クオモ氏をめぐっては2月24日にも、2018年までニューヨーク州の経済開発局の副局長兼特別顧問を担当していたリンジー・ボイラン氏(36)がセクハラを受けたと告発した。

クオモ氏は不適切な行為について否定しており、こうした疑惑について独立した調査を行うよう命じた。

10年以上ニューヨーク州知事を務めてきたクオモ氏はここ数週間、複数の問題をめぐり対応を迫られている。

クオモ氏は、ニューヨークの介護施設での新型コロナウイルスによる死者数を実際より少なく公表していた疑惑が浮上し、同じ民主党内から辞任を求める声などが出ている。

また、ニューヨーク市のビル・デブラシオ市長なども、クオモ氏によるいじめ疑惑が出ている。

最新のセクハラ疑惑の内容は

クオモ州知事の元側近のベネット氏はニューヨーク・タイムズに対し、州知事から、年齢が恋愛関係に影響を与えると思うかなど、自分の私生活についてたくさん質問されたと明かした。

また、州知事が自分は20代女性との交際に抵抗感はないのだと発言したという。ベネット氏はこうした州知事の発言は、明らかに性的な関係を求めるものだったと思うと述べた。

昨年6月には、州知事が新型ウイルスのパンデミックの最中に孤独を感じることについて触れ、ベネット氏が最後にハグをしたのは誰か尋ねてきたという。

ベネット氏は両親とのハグが恋しいと言って質問を交わした。同氏はこの会話も口説き文句だったと考えていると語った。

「州知事が私と寝たがっていたのは理解していた。だからひどく居心地が悪かったし、怖かった。どうやってこの状況から抜け出せばいいのか考えたし、自分の仕事がなくなってしまうとも思った」

このやりとりの後、ベネット氏はクオモ氏の首席補佐官ジル・デロシアーズ氏に何があったかを報告した。すると1週間しないうちに別の仕事に異動させられたという。

ベネット氏はクオモ氏に対する正式な調査を求めなかったのは、「前に進みたかった」からだと説明した。

クオモ氏は2月27日に声明を発表し、自分はベネット氏の相談相手として行動していたつもりだったと述べていた。

「ベネット氏に言い寄ったことは1度もなく、不適切な行動をとろうとしたこともなかった」

「彼女に報道にあるような思いをさせたいと思うはずがない」

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ほかのセクハラ疑惑は

2月24日には、クオモ州知事の元側近のボイラン氏が、自分が受けたとするセクハラの詳細を記述したエッセイを出版した。

その中で、州知事のプライベートジェットに乗っている際に唇にキスされたり、負けたら服を脱ぐストリップ・ポーカーをやらないかと言われたと告発した。

また、州知事が同意なしに触ってきたり、自分やほかの女性の外見について頻繁に不適切な発言をしていたと主張した。

昨年後半にこうした告発が明るみになった際、州知事は疑惑を否定した。そしてエッセイが出版された後も疑惑を繰り返し否定した。

州知事室は2月28日、州の司法長官や控訴裁判所の裁判長に対し、疑惑に関する独立した審査を行う弁護士を選出するよう、州知事が求めたと明らかにした。

クオモ氏をめぐるその他の告発

ニューヨーク州は新型ウイルスのパンデミックで最悪な被害を受けた州の1つで、クオモ州知事は新型ウイルス対応をめぐり広く称賛されていた。

しかし今年1月、介護施設での新型ウイルス感染に対する州の対応や、新型ウイルスに関連するデータの扱いについて疑惑が浮上した。完全な集計人数が州議会に提出されていないとする内容だった。

同州の介護施設では合わせて1万5000人以上が死亡しており、米国内で最多とみられている。

しかし1月まで、同州の保健当局は介護施設での死者は8500人超だとしていた。

クオモ氏は一部の老人ホームでの死者数の報告に「遅れ」があったことを認めつつ、新型ウイルスによる全体の死者数は常に正確だったと主張した。

ところが、米紙ニューヨーク・ポストにリークされたプライベートな会話の中で、クオモ氏の側近1人が、データが「自分たちへの攻撃に使われる」との懸念から、実際の数字を隠ぺいし、情報の公開を差し控えていたと認めていた。

クオモ州知事はいじめ疑惑にも直面している。

ニューヨーク州議会議員のロン・キム氏は介護施設の死者数をめぐる問題でクオモ州知事を批判した後、州知事から電話があり、キャリアに影響が及ぶことになると脅されたとされる。

ニューヨーク市のデブラシオ市長はこうした疑惑について、「アンドリュー・クオモらしい」話だとし、「いじめは今に始まったことではない」と付け加えた。

新型ウイルスのパンデミックの初期には、クオモ氏は最も影響力のある民主党員の1人となった。

クオモ氏のブリーフィングはテレビで生中継され、時には当時民主党の大統領候補だったジョー・バイデン氏の出演よりも注目を集めた。

(英語記事 Cuomo faces fresh claims of sexual harassment