山田佳央(個別指導塾ココロミル塾長)

 新型コロナウイルスの広がりで大きなダメージを受けているのは、飲食やレジャーの業界だけではありません。塾業界もビジネスモデルの転換を迫られました。首都圏を中心に約300教室を展開していた進学塾が約2割閉鎖したと言われていますが、SAPIX、早稲田アカデミー、四谷大塚などの大手塾も苦戦しています。

 これまで家庭教師、集団塾、個別指導塾で経験を積み、10年以上にわたって中学受験専門の個別指導塾を主催している経験から、子供を持つ保護者向けに塾業界の現状をお話したいと思います。

 緊急事態宣言が発令された2020年4月と5月には、学校のオンライン授業が話題になりました。それに伴い、学習塾業界でも一気にオンライン授業実施の機運が高まり、大手各社はビデオ会議ソフトのZoomを使った双方向授業、動画投稿サービス・ユーチューブの動画配信授業などへの移行を開始しました。

 授業を、学びを止めない。教室に集まらないので感染対策をしなくてもよい。大人の論理で考えれば非常に効率的で合理的な方法でした。しかし、実際はどうだったのでしょうか。

 確かに学びが止まってしまうことは子供たちにとってリスクですが、授業を理解できない、集中力が続かない、ストレスになってしまうという授業は逆効果です。昨年の4、5月に行われたオンライン授業では、まさにこのような事象が起こっていました。

 大きな要因として、各塾ともに「オンライン授業を行うべき」というところからスタートしてしまい、それ自体が目的化してしまったことが挙げられます。当たり前ですが、授業とは学力向上のための手段であり目的ではありません。

 オンライン授業には向き不向きがあります。これは個人の性格だけではなく、年齢にも大きく左右されます。私は小学生専門の中学受験塾を経営していますが、小学生にオンライン授業はまだ難しいと思われます。高校生に比べて集中力が低く、まだまだ子供なのです。

 ビジネスの世界では徐々にテレワークが浸透しつつありますが、役所などの公的機関では普及が進んでいないところもあります。大人の仕事でも対応が難しいことを、子供の大切な教育において実施することは、果たして理にかなっているのでしょうか。  
※写真はイメージです(ゲッティイメージズ)
※写真はイメージです(ゲッティイメージズ)
 私の会社では昨年から、全社的に社員らがZoomでミーティングをしていますが、やはり当初は慣れませんでした。事前にレジュメを作成し、参加者に発言内容を事前にまとめてもらい、時間管理をきちんと行わなければいけません。これを約1年間続けて、ようやく慣れ始めたというのが実感です。

 小学生に対するオンライン授業では、伸びる子と伸びない子の明暗がはっきりと分かれます。オンライン授業での効果が薄いと判断した子には、できる限り対面授業を受けるようにお願いしています。

 大人数を成績でクラス分けして集団授業する大手塾でもありますが、そういったところではオンライン授業も集団に向けて行っています。今のところ、多人数を対象にした「双方向性を保ったオンライン授業」は小学生には難しい、というのが私の結論です。突っ込んだことを言えば、学力とモチベーションが高い子を除けば、オンラインのみで授業は成立しないでしょう。