2021年03月07日 11:03 公開

新型コロナウイルス対策のためバイデン米政権が推進してきた1兆9000億ドル(約200兆円)規模の大型経済対策法案が6日、連邦上院を通過した。経済対策法案はすでに下院で可決されているが、今回上院が可決したのは修正法案のため、これを下院が9日にもあらためて審議した後、ジョー・バイデン大統領の署名を経て成立する見通し。

通常の予算手続きでは上院の6割の賛成が必要だが、今回は過半数の賛成で可決できる決議を与党・民主党が成立させていた。野党・共和党の上院議員は全員が法案に反対したが、賛成50、反対49で可決された。下院(定数435)は民主党が221議席を持つため、法案は可決される見通し。

バイデン大統領は上院による法案可決を受けて、パンデミックに苦しむ国民を助けるという自らの公約実現に向けた「巨大な一歩前進」だと歓迎した。

アメリカでは新型コロナウイルスの影響でこれまでに2900万人が感染し、約52万3000人が死亡している。現在の失業率は6.2%。

「アメリカン・レスキュー・プラン(アメリカ救済計画)」と呼ばれる今回の経済対策は、パンデミックが始まって以降、連邦政府による3度目のもの。高額所得者を除くほとんどの国民に1人あたり最大1400ドル(約15万円)が支払われるなど、家計支援を主眼としている。

共和党は今回の経済対策に費用がかかりすぎると批判し、上院では全員が反対した。民主党議員からもいったん下院が可決した法案について批判が出たため、上院では法案の一部を修正。とりわけ、連邦政府が支払う失業保険の追加給付額を週400ドルから300ドルに減額することになった。この失業保険の追加給付は9月6日まで延長されることになった。

バイデン大統領はこうした審議過程について、「もちろん簡単ではなかったし、必ずしも見た目も良くなかった。けれどもなんとしても必要だったし、喫緊に必要だった」と述べ、自分がなるべく早く署名し成立させられるよう、下院が修正法案を速やかに可決することを期待すると強調した。

経済対策の中身は

州政府や自治体には3500億ドル、学校には1300億ドルが支給される。

新型コロナウイルス検査の拡大や研究に490億ドル、ワクチン供給に140億ドルを支出する。

納税者への現金給付1400ドルは、年収7万5000ドル(約810万円)未満の人が対象。個人年収7万5000ドル、あるいはカップルの世帯年収15万ドル以上の人への給付は、速やかに廃止される。

失業保険の追加給付は3月半ばで期限切れになるところだったため、これが9月まで延長されたことは、長期化する失業に苦しむ数百万人の国民にとって特に重要な救済措置となる。

経済対策法案にはさらに、中小企業支援が盛り込まれ、特にパンデミックの打撃を受けているレストラン・バーへの支援金250億ドル、航空各社に150億ドル、空港に80億ドルなどを割り当てている。

争点は

ドナルド・トランプ前大統領の下では上院与党だった共和党は、過去2回の経済対策案は支持したものの、バイデン政権と民主党が取りまとめた今回の経済対策案については、費用がかかりすぎると批判してきた。

6日の上院採決前の審議は27時間続き、採決では共和党議員全員が反対した結果、賛成50、反対49と票数は党派に沿って割れた。

採決前には、大型の財政出動による景気過熱を懸念する声がジョー・マンチン上院議員など民主党からもあり、深夜に及ぶ長時間の審議を経てようやく、失業保険追加給付の減額などで妥協が成立した。

採決の前には民主党幹部のチャック・シューマー上院院内総務が、「長い1日、長い夜、長い1年だったが、新しい日がやってきた。アメリカ国民に、助けは間もなくやってくると伝えよう」と述べた。

一方で共和党幹部のミッチ・マコネル上院院内総務は、経済対策法案を批判。「上院がこれほど行き当たりばったりな形で、そしていい加減な手続きで、2兆ドルを支出するなど、今までになかったことだ」と述べた。

シューマー議員は、現行の失業保険追加給付が3月14日に期限切れとなる前に、修正法案は下院の可決を経てバイデン大統領が署名・成立させるだろうと見通しを示した。

(英語記事 Coronavirus: US Senate passes major $1.9tn relief plan