2021年03月08日 11:22 公開

中国の王毅外相は7日、中国政府がイスラム教徒のウイグル族に対し集団虐殺を実施しているとの訴えについて、「とんでもなくばかげている」、「まったくのうそだ」と反発した。

王氏はこの日、北京で開かれている全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の記者会見に臨んだ。

外相は、欧米の政治家について、中国西部・新疆省の状況をめぐるうそを信じたがっていると発言。現地を訪問するよう呼びかけた。

中国政府によるウイグル族の処遇をめぐっては、いくつかの国が「集団虐殺」(ジェノサイド)という言葉を使っている。アメリカは1月、新疆省で集団虐殺が進行しているとし、「中国の一党独裁体制が組織的にウイグル族を破壊しようとしている」と非難した。

中国が「再教育施設」と呼ぶ、新疆省の施設をめぐっては、虐待が行われていることを示す証拠が次々と浮上している。

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中国政府に対しては、ウイグル族の女性に不妊手術を強制し、子どもを家族から引き離しているとの非難も出ている。

BBCは調査報道で、ウイグル族が強制労働をさせられている模様を伝え、レイプや拷問が組織ぐるみで行われているとの訴えについて報じてきた。中国は、ウイグル問題と新型コロナウイルスに関する報道を理由に、BBCワールドニュース(国際ニュース放送)の放送を禁止している

国連は、少なくとも100万人のウイグル族が収容施設で拘束されているとしている。中国政府は、過激主義を根絶するために職業訓練を実施していると説明している。

だが、米国務省は前政権のころから、中国政府によるウイグル族の扱いを集団虐殺と呼んでいる。カナダやオランダの政府も同様の表現を使っている。

国連の「集団殺害罪の防止及び処罰に関する条約」は、集団虐殺を、「国民的、人種的、民族的、または宗教的な集団の全体または一部を破壊する意図を持って行われる行為」と定義付けている。

中国政府が集団虐殺を行っているとの訴えを受け、一部の国では、北京で来年開催される冬季オリンピックのボイコットを求める声が上がっている。

王外相の発言

王氏は、集団虐殺という言葉を使って中国を批判する国をあてこするように、「『集団虐殺』と聞くとたいていの人は、16世紀の北米の先住民や、19世紀のアフリカ人奴隷、20世紀のユダヤ人、今も闘い続けているオーストラリアの先住民のことを思い浮かべるものだ」と述べた。

アメリカとの関係が、台湾や南シナ海をめぐる問題でぎくしゃくしていることについて質問されると、「(中国政府は)根拠のない非難や中傷は決して受け入れない」と返答。

「アメリカと中国が互いに歩み寄り、いまも中米の協力関係において妨げとなっている不当な規制を直ちに解除し、新たな障害を人工的に作り出さないことが望まれる」と述べた。

ジョー・バイデン米大統領はこれまで、中国との間で高まっている競争が、自らの政権の主要課題の1つだと表明している。

香港やミャンマーについては

中国政府が全人代の初日に、香港の選挙制度を見直す方針を表明したことについては、憲法にのっとった改革であり、正当なものだと主張した。

王氏は「香港が混乱から統治状態へと移行するのは、すべての関係者の利益だ」と述べ、改革が香港に「明るい未来」をもたらすと訴えた。

一方で中国批判派は、中国が香港の反体制派を弾圧し、「1国2制度」によって保障されてきた権利を侵害していると主張している。

王外相は、国軍が権力を奪取した先月から抗議デモが続き、多数の死傷者が出ているミャンマーをめぐっては、「すべての関係者」と共に現状の改善に努める用意があると述べた。

「中国は(中略)ミャンマーの主権と国民の意思を尊重しながら、緊張緩和に向けて建設的な役割を果たすため、すべての関係者と接触し話をする用意ができている」

新型ウイルスのパンデミックに関しては、国外で暮らす中国国民へのワクチン接種を進めるため、現地の規則が許す形で、在外中国人用の接種施設を開設する方針を明らかにした。

(英語記事 China says Uighur genocide claims 'absurd'